彼方から

彼方からのレビュー・評価・感想

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彼方から
10

突然異世界へ飛ばされるファンタジー&ラブストーリー

作者は丁寧で細かな背景描写、愛らしいヒロインとクールなヒーローで読者を魅了するひかわきょうこ先生。
主人公は立木典子、17歳。小さな頃の経験から、何か思いもよらない出来事があっても物事を前向きにとらえて自分の使命を考えるポジティブ性と責任感のある女の子。突然当人も知らぬ‘’目覚め‘’の使命を負わされ異世界に飛ばされる。そこで初めて会った人、それがイザーク。彼は生まれた時から恐ろしい‘’天上鬼‘’となる存在として育てられる。親からも恐れられ疎まれて育ったイザークは自分の運命を憎みながら孤独な生き方をしてきた。‘’目覚め‘’とはその天上鬼となるよう目覚めさせる存在で、この二つが組み合わされたときにとてつもない武器となることを知り、各国が我先にとこの二つの存在を探し回ることになる。その運命から逃れるため、予言されていた場所、時刻に出現するといわれていた目覚めをいち早く見つけて抹消するため樹海に入るイザーク。だがそこで彼が見た目覚めとは想像もしてないほどごく普通の異国の女の子、ノリコであった。誰か他に見つかる前にすぐに抹消しなければならないはずが思いとどまってしまう、それどころか無力で必死に助けを求めてくるノリコを放っておけずあらゆる危険や攻撃から守り続けていくことになる。そうしていくうちに、明らかに目覚めと接触している天上鬼イザークの身体は恐れていた運命のままにすすんでいく、がしかし化け物の予兆を感じさせる身体の変化とは反対にこれまでに感じたことのない思いや心を感じるイザーク。二人の進んでいく運命に目が離せない!

彼方から
8

少女漫画「彼方から」は重厚な冒険譚

『彼方から』はひかわきょうこ作の少女漫画。
絵柄は1900年代の少女漫画特有の味があり、キラキラという効果音が似合うような印象の漫画です。
あらすじは”女子高生が異世界に迷い込む”という異世界転生の先駆け的ものです。
異世界転生とは言っても、主人公の女子高生にはいわゆる「チート」能力は無く、あくまで非力な少女のままストーリーが進みます。
ヒロインは言葉も常識も違う世界で年月を重ね、だんだんと成長していきます。あくまで普通の少女のできる範囲で物事をしっかり考えており感情移入や親近感が湧きやすい人物像です。
一方ヒーローは敵うものがいないほどのスーパー超人としてヒロインを守るために始終戦います。ここら辺は少女漫画らしい夢のある設定です。
絵柄はキラキラしいですが、展開はバトルシーンがかなり多く、それが高い画力で描写されており、かなり見ごたえがあります。あまりの戦闘の多さに、少々飽きがくる方もいるかもしれません。
肝心の恋愛シーンはかなりゆっくりした印象です。悪いということではなく、旅の中での心情変化などを丁寧に描いています。そのため、シーン数としてはかなり抑えめではあります。
高い画力や人物描写に引き込まれる作品です。変に甘すぎる恋愛ものが苦手だったり、ストーリー重視の方には是非お勧めです。