友罪

友罪のレビュー・評価・感想

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友罪
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映画「友罪」について

『有罪』は2018年公開の生田斗真・瑛太のダブル主演の映画です。
生田斗真演じる益田純一は、記者時代に上司と折り合いがつかず思わず手を挙げてしまい、書き手として職を失ってしまいます。
その後は日雇いの仕事で繋ぎ、寮が完備されている町工場に入社します。
そこへ純一と同時期に同じ町工場に、瑛太演じる鈴木秀人と言う人物も入社してきます。
町工場での仕事では悪戦苦闘しながらも日々何とか仕事をこなしていき、寮の人間とも仲良くする益田。
これに対して、仕事は出来るが無愛想で会話ができず孤立してしまう鈴木と言う対照的な二人を中心に物語は進んでいきます。
益田は学生時代に仲の良かった友人を自殺で失った過去を持っていました。
最後の最後で友人を見捨て、いじめる側に回ってしまった事を後悔し続けます。
一方の鈴木は、仕事帰りに男に追われて逃げている最中の美代子と言う女性と出会います。
美代子は追ってくる男に騙され、アダルトビデオに出演させられるなどの過去を持っており、人目を避けるように生活している女性でした。
ある日、益田が仕事をしていると過度のストレスからくる目まいで倒れてしまい稼動中の機械に手が挟まり、切断寸前の重傷を負ってしまいます。
しかし、鈴木の冷静な判断と、病院まで運んでくれたタクシードライバーの山内という男性の迅速な対応で、切断はせずに済みました。
この山内という男性は息子が交通事故で二組の家族の子供の命を奪ってしまったことから、自分達は家族で居ることに耐え切れず家族を解散させた過去を持っている人物でした。
そんな山内に息子から電話があり、子供ができ結婚するとの報告を受け怒りをあらわにします。

入院中の益田のもとには、元恋人で今も記者をしている清美が訪ねてきており、最近起こっている猟奇的な事件が昔世間を驚かした少年Aによる殺人事件と似ている部分が多いことを話します。

場面は変わり、近辺で起こっている猟奇的殺人事件のニュースを見ていた白石という女性は胸騒ぎがします。
この女性は、医療少年院で更生官として勤務しており、昔少年Aの更生も担当した人物だったのですが、また少年Aが事件を起こしたのではないかと思い、居ても立っても居られなくなります。
ほかの人たち同様彼女にも辛い過去があり、少年Aの更生に力を注いでいる時、仕事に没頭しすぎて家族を崩壊させている過去がありました。
少年Aこと青柳は、更生させてくれた白石だけとは連絡を取っていました。
青柳から近況報告を受け安堵する白石がそこにはいました。
益田は無事退院すると、鈴木や鈴木に連れてこられた美代子などから退院祝いをしてもらいました。
最初は不愛想だった鈴木も徐々に打ち解け益田や寮の人間らと仲良くなっていました。

益田は入院中に聞いた少年Aの事件について詳しく調べるようになります。
ネットや現地での取材を通してあることがわかります。
なんと、現在一緒に働いている鈴木が少年Aこと青柳だったのです。

そのことを記者である清美にうっかり漏らしてしまい、図らずも現在の少年Aが鈴木であることが顔写真付きで
記事になってしまいます。
結局、近辺で起こっている事件と鈴木はなんの関係もありませんでしたが、実名と素顔を晒された鈴木は、ここには居られないと思い姿を消します。
そんな、鈴木の姿を見た益田は、過去に直接手は下していないものの、友人を裏切り自殺に追い込んでしまった自分自身の愚かさを改めて認識します。
一方で美代子は、昔アダルトビデオに出演した際のDVDが近所にばらまかれ、過去が明るみになってしまいます。
山内は最後まで息子の結婚を許すことができず、一人苦しんでいました。

それぞれが何かしらの事件に関わっており、贖罪に対してどの様に償っていけばいいのか、それぞれが悩み続け物語は結末を迎えます。

犯罪を題材にした映画はよくありますが、この映画は普通の犯罪映画とは別の角度からスポットを当てた映画になっています。
最後まで「友罪」に登場する人物は、贖罪に対しての償い方を見つけきれずに物語は完結します。
償い方は人それぞれなので、こうあるべきだとはあえて提示せず見ている視聴者に考えさせる映画になっているなと思いました。
刑事や犯人は一切登場せず、あくまでも過去に罪を犯した人間、罪を犯した人間に関わった人間、この人たちが償い方に悩み続ける作品になっています。