キネマの神様

キネマの神様

『キネマの神様』(キネマのかみさま)とは、原田マハによる日本の長編小説。2008年12月12日に文藝春秋より単行本が刊行され、2011年5月10日に文庫化された。
著者の実体験や家族像をベースに描かれた作品で、無類の映画好きでありながらギャンブル依存で多重債務を抱えた父と、職を失った娘が「映画」をきっかけに絆を取り戻し、奇跡のような再生を果たしていく姿を描く。
突然の左遷により会社を辞職した円山歩(まるやま あゆみ)は、父・円山郷直(まるやま さとなお)が多重債務を抱えている事実を知る。借金返済のためにギャンブルを断たせ、唯一の趣味である映画鑑賞だけを許した歩だったが、父が映画雑誌「映友」のウェブサイトに投稿した映画評論が絶賛されたことをきっかけに、父娘の運命は思いもよらない方向へと動き出す。
本作は2018年には舞台化されたほか、2021年には松竹映画100周年記念作品として実写映画化された。映画化に伴い山田洋次監督らによる脚色版を元にした小説『キネマの神様 ディレクターズ・カット』も刊行されている。
映画版は山田洋次が監督を務め、志村けんと菅田将暉のW主演で制作が進められていたが、志村の急逝に伴い沢田研二が代役を務めた。第45回日本アカデミー賞において優秀作品賞ほか多数の賞を受賞した。

キネマの神様のレビュー・評価・感想

キネマの神様
9

松竹映画100周年記念に相応しい、素晴らしい作品

松竹映画の100周年を記念した、山田洋二監督の渾身の一作。物語は映画監督演としての才能を秘めたゴウとその才能にほれ込んでいる友人のテラシン、ゴウのことを気に掛ける食堂の看板娘である淑子を中心に進んでいく。映画監督、脚本化の才能を秘めているゴウは、映画監督としてデビューを果たすが、思ったような作品を作ることが出来ずに諦めてしまう。淑子はそんなゴウを気にかけており、周りの反対を押し切り二人は恋に落ちることになる。だらしない性格のゴウは自分では淑子を幸せにできないと主張するが、淑子は離れようとしなった。この二人の関係性が老年期でどのように変化しているのか、どのように変わろうとしているのかがこの映画の見どころである。主人公ゴウの青年期を演じるのは人気若手俳優の菅田将暉、老年期を演じるのは、沢田研二で二人の演じるゴウの特徴を見事に演じていたと思う。また、この映画では山田監督が映画界に携わってきた約60年間の歴史を忠実に再現していると思う。コロナウイルスの影響をうけた描写も物語の中に出てきている。この作品を通して、コロナウイルスが蔓延したこの世界での「映画」というものの存在意義を考えるきっかけになった。そして、この映画の主題歌を務めるRADWIMPS のヴォーカル野田洋次郎もゴウの友人テラシンとして出演している。