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松竹映画100周年記念に相応しい、素晴らしい作品
松竹映画の100周年を記念した、山田洋二監督の渾身の一作。物語は映画監督演としての才能を秘めたゴウとその才能にほれ込んでいる友人のテラシン、ゴウのことを気に掛ける食堂の看板娘である淑子を中心に進んでいく。映画監督、脚本化の才能を秘めているゴウは、映画監督としてデビューを果たすが、思ったような作品を作ることが出来ずに諦めてしまう。淑子はそんなゴウを気にかけており、周りの反対を押し切り二人は恋に落ちることになる。だらしない性格のゴウは自分では淑子を幸せにできないと主張するが、淑子は離れようとしなった。この二人の関係性が老年期でどのように変化しているのか、どのように変わろうとしているのかがこの映画の見どころである。主人公ゴウの青年期を演じるのは人気若手俳優の菅田将暉、老年期を演じるのは、沢田研二で二人の演じるゴウの特徴を見事に演じていたと思う。また、この映画では山田監督が映画界に携わってきた約60年間の歴史を忠実に再現していると思う。コロナウイルスの影響をうけた描写も物語の中に出てきている。この作品を通して、コロナウイルスが蔓延したこの世界での「映画」というものの存在意義を考えるきっかけになった。そして、この映画の主題歌を務めるRADWIMPS のヴォーカル野田洋次郎もゴウの友人テラシンとして出演している。