少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録のレビュー・評価・感想

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少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録
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テレビシリーズとは別の世界線

1999年劇場公開された『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』。監督はアニメファンの間では有名な幾原邦彦で、主演を務めるのはテレビアニメシリーズから継続し、川上とも子です。テレビ版では、主人公のウテナとバラの花嫁であるアンシーの二人は離れ離れになってしまいました。劇場版では全く違う設定で、最終的に二人は一緒に自由を求めて「外の世界」に向かいます。「外の世界には道が無い。結局、ダメになってしまうかもしれない。それでも…」とウテナは言います。テレビシリーズでは描かれなかった「二人の救済」が短い劇場版の中で描かれたのはすごく良かったと思います。しかし、理事長の代わりを務めていたアキオという重要な男性キャラクターの声優が、テレビ版から変更されて有名人の及川光博になっているのがとても残念でした。正直、及川光博の演技は棒読みに近くイメージとはかけ離れたものでした。ドラマなど実写作品での及川光博の活躍は私も何度も見て来ましたが『ウテナ』の世界にはミスマッチでした。実はこの劇場版の主題歌も及川光博が歌っており、『フィアンセになりたい』というこの曲は、若干『ウテナ』の雰囲気とは違うものでした。大人の事情があるのは仕方無いとしても、作品を見終わった後に複雑な気持ちになるのは間違いありません。映像の中で当時珍しく3Dを採用している箇所もあったのでそこは評価したいと思います。