すばらしきこのせかい It's a Wonderful World

すばらしきこのせかい It's a Wonderful Worldのレビュー・評価・感想

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すばらしきこのせかい It's a Wonderful World
6

新規層の取り込みは難しいクオリティ

DSソフトの中で最も傑作と名高いゲーム「すばらしきこのせかい」のアニメ作品。上下二画面の特性を最大限生かしたゲーム性と洗礼された世界観、それに合わせたハイクオリティな音楽が魅力のゲームでしたが、それをアニメという形に昇華できるかというのがこの発表を知ったときの一番の懸念でした。ゲーム本来の魅力が昇華できているかと言われると正直に「ノー」だと言います。
世界観を壊さないために画風を寄せているのも、3Dモデルの違和感を消す努力も垣間見れるところはありますが原作の魅力を伝えるには到底及んでいません。それでも平均よりも良いと評価したのは既プレイヤーであればあのキャラクターたちが実際に動いて世界を作っていることに多少なりとも感動を覚えるからです。これは単なる思い出によるフィルターかもしれません。ゲームを楽しんでいた身からすればとても楽しめる内容であると思いますが、すばらしきこのせかいを全く知らない新規層がこのアニメを見て「とても魅力的だ!」と手放しで評価するとは到底思えないです。アニメを見るより実際にゲームを購入してプレイすることを強くお勧めします。在りし日の渋谷があなたを間違いなく楽しませてくれます。

すばらしきこのせかい It's a Wonderful World
10

【ストーリーネタバレ含む】最新作発売間近!ゲーム『すばらしきこのせかい』

2021年7月27日に発売されるゲーム『新すばらしきこのせかい』は、13年前にニンテンドーDSでスクウェア・エニックスから発売された『すばらしきこのせかい』の続編にあたる、ファン待望の作品です。

今回は、新作を楽しむために『すばらしきこのせかい』をプレイしていない方向けに、軽いストーリー解説と個人的なレビューを書いていこうと思います。
『すばらしきこのせかい』は、東京都の渋谷を舞台としたRPGゲームです。主人公は何らかの理由で死んでしまい、目を覚ますと死神が支配する“裏側の渋谷”に捕らわれていました。自分が何者なのかも分からないまま、それを考える暇もなく、生き返るために「死神ゲーム」に参加することになります。
死神ゲームの参加料は自分の一番「大切なもの」を1つ没収されることで、自分の参加料は「記憶」だと知った主人公は、失った記憶を取り戻すために、そして生き返るために、同じ世界で出会ったパートナーと共に7日間の死神ゲームを生き残るべく戦いを繰り広げます。

漫画を読み進めるようなデザインの会話シーンは、キャラクターの動きが少ないながらも感情表現がしっかりと読み取れます。重要なシーンはアニメーションで描かれ、多くのプレイヤーに緊張感や衝撃を与えたことでしょう。そうしてストーリーが進む度にどんどんこの作品に引き込まれていきます。
当時の渋谷の街並みを忠実に再現しており、ゲームマップは見覚えのある場所ばかりです。
装備品や回復アイテムはブランド品やジャンクフードなどで、お店に通う度に店員と仲良くなるシステムなどは「現実で冒険をしたらこうなるのかな?」と感じるもので、非常に斬新かつ今までにありそうで無かったゲームデザインに衝撃を受けました。
登場人物は、「いかにも渋谷に居そう!」と言いたくなるような個性的なキャラクターばかりです。
そして、現代のEDMやロック、ヒップホップにのせて繰り広げるバトルはとても奥が深く、ニンテンドーDSの特徴でもある上下の2画面を巧みに使ったバトルシステムは、やり応え抜群です。
それぞれのプレイキャラクターも個性が強く、携帯が攻撃手段だったり、スケボー少年がトリックを決めながら攻撃をしたりします。主人公の攻撃手段は何百通りもの組み合わせがあり、人によってプレイスタイルが全く違うのも非常に面白かったです。
DSソフトとは思えない程のやりこみ要素があり、当時夢中になった人は何十時間、何百時間もプレイしていたことでしょう。

根強いファンが世界中に存在し、13年越しの新作発売を成し遂げた『すばらしきこのせかい』、是非みなさんも一緒に、今度は令和の渋谷を冒険しに行きませんか?