スコルピオンの恋まじない

スコルピオンの恋まじない

『スコルピオンの恋まじない』(原題:The Curse of the Jade Scorpion)とは、2001年に公開されたアメリカ合衆国のコメディ映画である。日本では2002年12月21日にギャガ・コミュニケーションズの配給により劇場公開された。ウディ・アレンが監督、脚本、主演を務め、ヘレン・ハントやダン・エイクロイドらが共演した。1940年代のニューヨークを舞台に、腕利き保険調査員と女性重役が催眠術によって引き起こす騒動を描いたスラップスティック・コメディであり、ハワード・ホークスやビンセント・ミネリといったハリウッド黄金期映画へのオマージュが多数散りばめられている。
1940年代のニューヨークにて、一流保険会社で働く昔かたぎの自称腕利き保険調査員・C・W・ブリッグス(C.W. Briggs)は、社内改革と効率化のためにやってきたリストラ担当の女性重役ベティ=アン・フィッツジェラルド(Betty-Ann Fitzgerald)と事あるごとに衝突していた。顔を合わせれば皮肉を言い合う犬猿の仲である二人であったが、同僚の誕生パーティーで訪れたショーにて、催眠術師ヴォルタン(Voltan)によって特定のキーワードを聞くと互いに猛烈に恋に落ちてしまう催眠術をかけられてしまう。その一方で、会社が保険を請け負う顧客の邸宅で連続宝石窃盗事件が発生する。内部犯行を疑い調査に乗り出すブリッグスであったが、裏で催眠術師に操られた自分自身が犯行に及んでいたことを知らず、自身の手で自分を追い詰めるという奇妙な事態へと陥っていく。
ウディ・アレン独特のテンポの良い掛け合いと軽妙なロマンティック・コメディの要素が融合した作品として親しまれている。

スコルピオンの恋まじないのレビュー・評価・感想

スコルピオンの恋まじない
8

深くないからいい!

ウディ・アレンの傑作ではないかもしれません。でも、傑作ではないのがこの作品の強みだと思います。
「雨の休日、予定のない夜、少し余ってしまった日常の時間を埋めたい時に、傑作では重過ぎる」、そんなわがままに付き合ってくれる作品です。
舞台は1940年代のニューヨークの保険会社です。ウディ・アレン演じる保険調査員と、社内改革のためにやってきたキャリアウーマン(ヘレン・ハント)の水と油のような関係性が、ある夜をきっかけに変わり始めます。この対立構造の分かりやすさが、とっつきにくくなくて良いんです!メインキャストの二人の立場や感情がスッと入ってきます。
そんな二人の対立に変化をもたらすきっかけは「催眠術」です。
我の強い二人の男と女が「催眠術」によって操られ、無意識の行動を繰り返します。でも、その無意識の行動を経て2人は自分の本当の意識、本当の想いに迫っていくのです。
この経過が絶妙に馬鹿馬鹿しくて最高で、ちょっと怖いんです。「自分の身に降りかかったら…」、そう考えると結構恐ろしいです。いや、すでに私たちは「催眠術」にかかって日々を過ごしてると言えなくもないのではないでしょうか?
馬鹿馬鹿しい話なのに、いつの間にか当事者意識を持ってこの作品にのめりこんでしまっています。いつの間にか、僕の心はウディ・アレンに操られてしまっているのです。
心地よく操ってくれるこの作品は、傑作ではなくとも僕にとっては名作です。