ファッションが教えてくれること

ファッションが教えてくれることのレビュー・評価・感想

ファッションが教えてくれること
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【映画レビュー】『ファッションが教えてくれること』(原題:The September Issue)

今回レビューする映画は、『ファッションが教えてくれること』(原題:The September Issue) です。
2009年に公開された、世界的ファッション誌『ヴォーグ』の編集長『アナ・ウィンター』と、ヴォーグができるまでの過程に密着したドキュメンタリー映画です。
アナ・ウィンターといえば、映画『プラダを着た悪魔』の鬼編集長のモデルとも言われ、”鉄の女”と呼ばれるほどのスーパーキャリアウーマンです。
この映画ではそんなアナが編集長を務める雑誌が制作される過程に密着しており、雑誌読者へ『ファッション』を伝えるために、アナを始め、編集部メンバーが奮闘している姿が印象的です。
1つの雑誌を完成させるためには、編集部内での意見が対立することも。
そんな対立や葛藤も含め、リアルな裏側も映されています。
また雑誌制作以外にもファッションショーの様子や、ファッションブランドのデザイナーとの交流も見ることができ、ファッション業界の一部も見られます。
この映画では、なんといってもアナの一流な仕事ぶりを見られるのが良い。
仕事に対する考え方、仕事仲間との付き合い方、イレギュラーへの対処法など…。
流石にアナほどにはなれないけど、仕事への向き合い方は自分も真似したい!と思えるほどでした。
また、アナ以外にも編集部員、ファッションデザイナー、アナの娘など、様々な人にインタビューをしている場面が出てきます。
特に印象的だったシーンが、編集部でもアナと同じくらいの重鎮であるエディターの『グレース・コディントン』が、アナと意見が対立させたシーンです。
グレースが雑誌の企画特集で、彼女が表現したい妖艶で柔らな雰囲気のコンセプトを元に撮影したところ、アナからは「この雰囲気はやぼったいから、もっとハッキリさせて」との指摘があり採用されないのです。
その後のグレースへのインタビューでは、「あれは意図して作ったコンセプトなのよ?」と言っており、葛藤している姿が映されていました。
そのシーンを見て、「みんなが羨むような仕事をしている人も、誰もが仕事で悩むこともあるんだ」とか、「うまくいかないことや自分の中での葛藤を乗り越えて生きているんだな」と感じました。
仕事がうまくいかない時に見ると、こんなに悩むのは自分だけじゃない、と少し気持ちが楽になるかもしれません。
このシーンだけでなく、このドキュメンタリーに出てくる人たちの仕事に対する姿勢などをみて、仕事へのモチベーションが上がると思います。
そして、もちろんこの映画は『ファッション』が主題なのですが、ファッションビジネスのリアルを見ることができるので、ファッションが好きな人はもちろん、そうでない方も面白く見られるのではないかと思います!