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音楽の引き出しが多過ぎる、売れること以外全てやり尽くしたバンド
鈴木慶一とムーンライダーズ名義でデビューし、70年代からキャリアを築く長寿バンドの一つが“ムーンライダーズ”です。アメリカンロック路線の“はちみつぱい”を前身としています。デビュー作『MOONRIDERS』では英国ポップバンド“10cc”のような多趣味な音楽性とユーモアなモダンポップから始まり、その後はプログレ、ニューウェイヴ/パンクとその時代ごとの音楽ジャンルと要素を取り入れていきます。80年代に入るとテクノポップに傾倒しましたが、内容が斬新過ぎて作品の発売が一時見合わされることもありました。
数年の活動休止期間が設けられましたが、メンバーそれぞれがプロデュース業に就き、その手腕をふるっていくことになりました。特にメンバーの白井良明、岡田徹はその後人気を博すことになる複数のミュージシャンのプロデュースワークが認めれられ、J-POPの礎を築くことになります。90年代に活動再開されてからはハウスミュージックやソフトロックにシフトし、00年代以降はジャンルレスの斬新なアイデアで音楽通を唸らせます。
音楽的にバンドはすべてをやり尽くしましたが、残念なことに商業的成功は得られませんでした。しかし、一度触れると病みつきになるサウンドはすべての音楽ファンにお勧めしたいです。