神様、僕は気づいてしまった

神様、僕は気づいてしまったのレビュー・評価・感想

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神様、僕は気づいてしまった
10

若者ではなくなってきた若者に聞いてほしいアーティスト

2021年現在、アラサーと呼ばれる世代の自分にとって、最近流行りのアーティストというものがもうすでにわからなくなってしまった。
もちろん、まだ若くありたいという気持ちからか、『official髭男dism』だとか、『あいみょん』などはチェックしたものの、「これが今の流行りなのね」、とうまくハマれず、年齢を感じ始めた。
そんな中、『神様、僕は気づいてしまった』というバンドを知った。
名前なのか曲名なのかすらわからないアーティストで、しかも覆面をかぶっている。
また「うまくハマれないんだろうなあ」と思いながら、『CQCQ』という曲から聞いてみる。
ボーカル”どこかのだれか”(という名前)の中世的な声に、すっきりとシャープなメロディライン。
何よりも、歌詞が心地よい。
最近のアーティストに自分がハマれない理由がわかった気がした。
神僕の歌詞は明るくない。
他の楽曲もだが、恋愛や夢というようなものはなく、絶望や逃避、モヤモヤと気だるげでも生きていくしかないという諦め、そのような印象だ。
学校を卒業し、惰性的に働き、いつのまにか若かったということしか覚えていない自分がぼんやりと考え目をそらしていたような想いが形になったような曲だ。
何かを肯定も、応援するではなく、遠くでもがき苦しむ同年代の想いが、透き通るような声やメロディで作られている。
久しぶりに共感し、素直に聞くことができるアーティストに巡り合えた。