娼婦ベロニカ

娼婦ベロニカ

『娼婦ベロニカ』(しょうふベロニカ、原題:Dangerous Beauty)とは、マーガレット・ローゼンタール原作の伝記小説『The Honest Courtesan』を基に映画化された1998年公開のアメリカ映画である。キャサリン・マコーマックが主演を務め、マーシャル・ハースコビッツが監督・製作を担当した。16世紀のヴェネツィアを舞台に、美貌と知性を兼ね備えた実在の高級娼婦(クルチザンヌ)ヴェロニカ・フランコの半生と恋の行方を描いた成人映画である。アメリカでは1998年2月20日に公開され、日本では1999年10月23日よりシャンテシネにて劇場公開された。
ストーリーは1583年の繁栄するベネチア共和国から始まる。主人公のベロニカは貴族出身のマルコと恋に落ちるが、地位と家柄の違いから結婚を拒まれてしまう。当時は女性が男性の所有物として扱われる時代であったが、元高級娼婦であった母親から「愛する男の愛人として愛を独占するために、高級娼婦になる道がある」と教えられ、困窮する家族を支えるためにも高級娼婦になる決意を固める。母親から知識や性技、最高峰の教養を手取り足取り叩き込まれたベロニカは、美貌と才気に磨きをかけ、司教など大物の間で瞬く間に評判となっていく。マルコとは反発し合いながらもやがて愛を交わすようになるが、彼女の存在は周囲の女性たちからの嫉妬や疎まれる原因となっていく。
やがてベネチアはオスマン帝国との交戦状態に陥り、フランスからの援軍を取り付けるため、ベロニカは来訪したアンリ3世の夜の相手を務めて国を救い「国の宝」と称賛される。しかしその後、街にペストが蔓延して多くの死者が出ると、ベロニカは魔女として告発され、宗教裁判にかけられる身となってしまう。法廷でかつての敵対者らから糾弾される中、ベロニカは自らの誇りをかけ、妻としての従順よりも娼婦としての自由を選んだと堂々と告白。マルコが彼女を「愛の共犯者」として命がけで擁護したことをきっかけに、かつて彼女を指名した多くの有力者たちが次々と立ち上がって裁判の不当性を訴えたことで、司教も告訴を取り下げざるを得なくなり、ベロニカは無罪を勝ち取る。

娼婦ベロニカのレビュー・評価・感想

娼婦ベロニカ
7

いつの時代も女性は逞しい

実話ベースのおとぎ話のようなハッピーエンド!
映画の冒頭で「これは実話を基にした物語である」と説明が入るのですが、「果たしてこんなに出来た話が実話なのか」と気になり調べてみました。実際、実在のベロニカと映画では違う面が多い印象。個人的には史実に沿った彼女の人生の方が見応えがあると思うのですが、今回はあくまで彼女の名前を借りた別の物語として解釈したいと思います。

前述した通り、物語はほとんどフィクションです。もう一つ印象に残ったのは映像の美しさです。舞台が中世ヨーロッパということもあり、きらびやかなドレスを身に纏って、時には纏わないで、昼も夜も社交場に赴く高級娼婦なので、それはもう最高に美しかったです。そんな彼女のサクセスストーリーですが、まずはあらすじを。

舞台は1583年、商業都市として栄えるベネチア共和国では女性が男性の所有物のように扱われており、ベロニカは貴族出身のマルコと身分違いの恋に落ちます。「結婚は愛によって結ばれる」と信じるベロニカに、マルコは「国家のため、身分の高い娘と結婚しなくてはならない」と告げます。悲しむベロニカは母のアドバイスにより、マルコの愛人になるため、家計を支えるため、高級娼婦を目指します。詩の才能にも恵まれ、次第に人気の高級娼婦となったベロニカですが、いつしか時代は移り変わり、ペストが蔓延すると、娼婦はヘイトの対象になってしまいます。彼女も、魔女裁判にかけられるも毅然とした態度で臨み、恋人マルコの助けもあって彼女は釈放され、生涯マルコとの愛を貫きました。

母のアドバイスで娼婦になった、という点はツッコミたくもなりますが、ベロニカが自由に生きる術を手に入れた瞬間でした。この時代の女性は、愛のない結婚をして男性の所有物であるかのような人生を送ることが当たり前でしたが、彼女は自身の意思で自由に生きることを決意します。それは危険な局面であっても変わらず、彼女は自分の生き方に誇りを持っていました。現代において生き方の選択肢が増えた分、私たちは危険に晒されることもなく自由に生きることができます。しかし、それと同時に自分の選択を疑いたくなることも時にはあるのではないでしょうか。ベロニカの、危険に直面してもなお揺るがない誇りは、物事の盤面をも変える力があると実感しました。彼女の美しさ、そして逞しさにぜひ触れてみてください!