健康で文化的な最低限度の生活

『健康で文化的な最低限度の生活』とは、2014年18号から『ビックコミックスピリッツ』(小学館)で連載された、柏木ハルコによる青春群像漫画である。コミックスは11巻刊行され、累計発行部数は2021年3月時点で電子版を含め100万部を超えた。単行本の第8巻に収録された「子供の貧困編」は作者の強い希望により、電子書籍のみ15ページ加筆修正がされた。物語は新人ケースワーカの義経みえる(よしつね みえる)が区役所の社会福祉事務所で知ることになる、生活保護を受ける人々の現実や苦悩を描いている。本タイトルは、日本国憲法第25条第1項の条文から採られた。2018年に「第64回小学館漫画賞」の一般向け部門を受賞し、2019年には「第23回手塚治虫文化賞」の一般部門最終作品となった。2018年7月から9月までテレビドラマが放送され、義経みえる役を吉岡里帆が演じた。作者はドラマ化にあたって「間違った情報は描かないよう監修をつける」、「視聴者の偏見を助長する表現はしない」という条件をつけた。

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健康で文化的な最低限度の生活のレビュー・評価・感想

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健康で文化的な最低限度の生活
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生活保護行政の入門書

新卒公務員である主人公『えみる』が、福祉事務所に配属され、『ケースワーカー』という生活保護の業務に携わる漫画。
ケースワーカーは、無数の部署や仕事がある役所の中でも比較的ハードとされる業務である。
そんな重責を入庁早々に任され、悪戦苦闘しながらも主人公が成長していく描写は経験者からしても説得力があり、新人ケースワーカーの入門書としては勿論、一般人にとっても生活保護の概要を知ることのできる作品と言える。
また、この漫画は2018年の7月17日から9月18日にかけてドラマ化されており、漫画と併せて視聴することでより、生活保護の実態を知ることができる内容となっている。
『生活保護』というと、世間では不正受給のことばかりが大々的に報道されている印象がある。
この漫画の主人公と同様に、役所に入って早々ケースワーカーを任された経験者として言えるのは、大多数の人々がやむにやまれぬ事情から生活保護を受給するに至り、それぞれが自立に向けて努力しているということ。
その点でこの漫画はかなり中立的で、非常に評価できる。
地方公務員(特に市役所)への就職・転職を考えている人、貧困等から生活保護の受給を考えている人、公務員を税金泥棒と見くびっている人、その他色んな方にオススメの作品だ。