ストップ・メイキング・センス

ストップ・メイキング・センスのレビュー・評価・感想

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ストップ・メイキング・センス
10

トーキングヘッズのライブ以上に映画として最高

一見すると、ロックバンド『トーキング・ヘッズ』のライブ映画のように見えるのですが、さすがに監督がジョナサン・デミだけあって、単なるライブではありません。
デビッド・バーンがラジカセを持って一人で歌い始めてから、少しずつメンバーが加わるのと同時に黒子が舞台セットを少しずつ作り上げていきます。
セリフもなく淡々とライブが進む中、カメラワークも普通に演奏者を撮っているだけのように見えますが、時間が経過しても全く飽きない撮り方です。
演奏が進むにつれて、最初とは全く雰囲気が変わっていることに気づきます。
見終わると、感動という大げさな感覚とは違い、何か充実感が漂う感じです。
よくあるミュージシャンのライブ映像は、ファンのための映像という作りが多い気がします。
この映画も、確かにトーキング・ヘッズのファンも十二分に楽しめる内容なのですが、振り返って考えるとこれはジョナサン・デミ監督のオリジナル映画であり、その主演俳優がトーキング・ヘッズという見方のほうが正しいかもしれません。
実際、この映画のサウンドトラック盤も発売されており、そちらも素晴らしいのですが、映画のインパクトは音楽だけ以上のものがあり、このような映画を作るジョナサン・デミ監督の凄さを実感します。