君は放課後インソムニア

君は放課後インソムニア

『君は放課後インソムニア』とは、オジロマコトによる日本の漫画作品。『ビッグコミックスピリッツ』にて2019年から2023年まで連載された。石川県七尾市を舞台とする高校生男女の恋愛青春漫画。
原因不明の不眠症に悩まされる中見丸太(なかみ がんた)は、学校内にある廃墟同然の天文台で昼寝をする曲伊咲(まがり いさき)を目撃する。曲もまた、不眠症に悩まされていたのであった。お互いが側にいると眠れることを知った2人は、天文台での時間を共に過ごし、成り行きで廃部した天文部復活のため奔走する。物語は高校一年生の文化祭から始まり、卒業するまでを描いている。
2019年での人気バンドマカロニえんぴつの楽曲とのコラボを皮切りに、2023年にはテレビアニメ化、また人気女優森七菜がヒロイン役で実写映画化されている。舞台の石川県七尾市は「聖地」とされ、多くのファンが訪れた。2024年元旦の大地震により七尾市は多大な被害を受けており、Xの公式アカウントでは募金などの呼びかけが行われた。

君は放課後インソムニアのレビュー・評価・感想

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君は放課後インソムニア
7

君は放課後、いくつ眠れる夜を越えた?

本作は「富士山さんは思春期」「猫のお寺の知恩さん」の作者が送る、北陸石川県のとある高校を舞台にした淡い恋物語。
不眠に悩みいつも不機嫌な主人公のガンタ(男子)は、ある時学校の天文台で寝ていたイサキ(女子)に偶然出会い、天文台を居場所にするために今は部員のいなくなった天文部に入部し活動を始める。その中で、不眠という共通の悩みを抱えているものの事情は全く異なる二人が、お互いの大切な部分を理解し惹かれ合っていく姿が淡々と描かれている。
この作者の作風でもある淡々とした感じに若干のもどかしさや物足りなさを感じなくはないが、その淡々さ加減がガンタ、イサキという二人の主人公を自然に表現しているようでもあり、この物語を独特の雰囲気のあるものにしている。
主人公を取り巻く友人・教師に個性が強い者が多く、物語にアクセントをつけている。天文部の顧問は、どこかで見たことがあるような…(「富士山さんは~」の保健の先生によく似ている)。個人的には天文部の先輩のシロマルさんが気になる。
物語中に出てくるイサキのいろいろな表情のアップ、思いがこもったセリフにも注目。イサキがどんな気持ちでそんな表情をしているのか、セリフの裏にはどんな思いが秘められているのか想像するのも、この漫画の楽しみの一つである。
高校時代に眠れぬ夜をいくつも越えた人にも、そうでもない人にもオススメの一作。