神々の山嶺

神々の山嶺のレビュー・評価・感想

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神々の山嶺
10

エベレストに全てを賭けた男の物語

登山を題材にした漫画作品は多いが、神々の山嶺の羽生丈二ほど、山に対してストイックな登場人物はいないだろう。
羽生は登山をする中で、未踏破ルートを登ることに命を賭けている。第一登頂者こそが価値のある人間であり、第二登頂者以降は全て模倣者という考え方を持つ彼は、世界でも名だたる危険地帯に足を踏み入れていく。

そんな羽生に惹かれ、彼のことを調査し始めたのが今作の主人公、深町誠である。深町はエベレスト登山隊にカメラマンとして同行した男だ。エベレスト登頂に失敗し、隊を離れた深町はネパールの首都、カトマンズにいた。

カトマンズはヒマラヤ山脈登山者の拠点となる都市で、多くの登山者やショップが存在していた。とある中古登山道具取り扱い店に入った深町は、伝説的なカメラを手にする。かの有名なセリフ「そこに山があるからさ」を言ったジョージ・マロリーのカメラである。

マロリーのカメラを通して羽生と繋がった深町は、その後の人生を大きく変えることになる。

この作品の最大の魅力はなんと言っても羽生の山への情熱だ。登りたいという強い思いが、不可能と言われる未踏破ルートを攻略していく。
その思いは深町にも伝わり、彼を変えていくのだった。

素晴らしい作品です。
魅力溢れる羽生と深町のキャラクター、続きが気になる引き込み力の高さ。まさに名作であります。