力人伝説 -鬼を継ぐもの-

力人伝説 -鬼を継ぐもの-のレビュー・評価・感想

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力人伝説 -鬼を継ぐもの-
6

なければ作ればいい

若貴兄弟を題材にした実録作品で、作画は『DEATH NOTE』の小畑健先生です。兄・若乃花と弟・貴乃花の若貴兄弟は、90年代前半の大相撲界だけでなく、日本スポーツ界の主役でした。若貴兄弟と両親の花田一家は、『平成の理想的な家族』とよく言われたものです。当然この作品も、理想の家族を題材に、とても美化して描かれています。これから10年以上先の花田一家の離散ぶりを見ていると、まさに隔世の感があります。その中から、この作品で一番好きな、兄弟のトンデモエピソードを紹介します。ある日、若貴兄弟が外を歩いていると、やくざ風の男たちから因縁をつけられます。もちろん兄弟は強いので、普通に戦えば即座に倒すことが出来るでしょう。しかし、男たちは「暴力を振るったら問題になるぞ」と脅してくるのです。そこで兄弟が取った行動は、驚くものでした。道の上に円を描いて、土俵代わりにしたのです。そして、「この中でなら受けて立つ。俺たちは、土俵の上なら命を張れるんだ」と凄んできたのです。これには男たちもたじたじに。あっという間に逃げていきました。土俵がなければ作ればいい。今ならば問題になったに違いありませんが、そういう話も特にありません。それこそ、若貴人気が凄まじかったからでしょう。今ではとても信じられません。