ジェイコブ・コリアー

ジェイコブ・コリアーのレビュー・評価・感想

New Review
ジェイコブ・コリアー
9

宅録を超えた、新世代のポップ音楽アーティスト

彼のファーストアルバム「In My Room」は、名前のとおり自分の部屋でありとあらゆる楽器と機材を操り、作り上げられた作品である。ファンク、ワールドミュージック、アンビエントなど様々なジャンルの音楽が複雑に絡み合い、彼にしか作り出せない音楽となっている。アルバムの中にはカバー曲も含まれ、特にフリントストーンのテーマはその中でも明るい印象を放つ。その他の曲は、深い余韻、多重録音でとられた美しいハーモニーが印象的だ。楽器の音と彼の浮遊するような声が、宅録ながらもどこか有機的なものを感じさせる。唯一無二の個性と言っていいと思う。TEDの映像で彼のパフォーマンスを少し観たが、本当にありとあらゆる楽器をこなし、縦横無尽にステージを駆け巡る。新しくて芸術的なものを作ろうとする、斬新なパフォーマンスだった。服装もかなり独特で、あまり格好を取り繕っていないところも好感がもてる。パフォーマンスの後のインタビューはものすごいハイテンションで、エネルギーが爆発してそのまま立っているのが難しいのではないかと思えるほど。本当にユニークな存在なのである。若くしてグラミー賞を受賞したり、高く評価されている若手ミュージシャンの一人だが、これからもジャンルや国籍にとらわれず、自由に音楽界を闊歩していってほしいものである。