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荒野の七人
言わずと知れた、黒澤明の「七人の侍」ハリウッド版。とてもよく出来ている。時代劇を西部劇にしても何の違和感もない。
この映画の撮影当時、有名な俳優は「王様と私」のユル・ブリンナーと山賊のリーダーを演じたイーライ・ウォラックの二人だけで、その他の俳優は殆ど無名だったため殆ど話題にもならずむしろ不評だった。あの「王様と私」のブリンナーが西部劇に出るとはと言われ馬鹿にされていたという話だが、今からすると仕方のない事に思える。黒澤明といってもアメリカ人には無名の存在だったはずで、「七人の侍」の映画も知られていたかどうか。たぶん知られていなかっただろうから、アメリカ人にはどうでもいい映画と無関心だったようだ。しかし公開されるとあまりにも面白いので驚愕。映画は大ヒット。無名の俳優たちはスターになり、エルマー・バーンスタインの壮大なテーマ曲に心を揺さぶられ多くの人が作品のとりこになった。
観客は魅力ある登場人物、ストーリーの面白さに狂喜乱舞した。続編も作られ、今だに新作が作られている。黒澤も世界的に有名になり、三船敏郎も「世界のミフネ」と呼ばれ国際的なスターとして活躍した。1本の映画が映画の歴史を変え、俳優の人生を変え、無名から世界の大スター・ドル箱スターになった。才能ある人たちの出会いが映画の歴史を作っていく。だから映画は素晴らしい。永遠の娯楽の王様だと思う。