小さな恋のメロディ

小さな恋のメロディのレビュー・評価・感想

小さな恋のメロディ
8

少年と少女の淡い交情を甘美で詩的な抒情で描いた名作『小さな恋のメロディ』

『小さな恋のメロディ』は1971年に公開された小学生たちの初恋を描いた英国映画で、監督はワリス・フセイン。
出演は、ジャック・ワイルド、マーク・レスター、トレイシー・ハイド。
米国と英国では興行的には失敗しましたが、日本、メキシコ、アルゼンチン、チリで大ヒット、南アフリカでもそこそこのヒット作となりました。
英国での原題は『S.W.A.L.K.』とされていました。
これは英国の小学生たちがラブレターを書くときに封筒の上に書き記す略語です。
本義は「standing for sealed with a loving kiss」でした。
ロマンティックな物語が子どもたちの視点から綴られています。大人たちは補助的な役割を演じるだけです。
ダニエル・ラティマーは問題児のトム・オーンショーと友だちになります。
しかし、ダニエルがメロディ・パーキンスと恋仲になると、少年たちの友情が停滞してしまいました。
というのもダニエルはメロディに首ったけになったのでオーンショーはダニエルが自分のことを気にもかけなくかけなくなったことに嫉妬しているからです。
というような子どもたちの綾なす感情を丁寧に拾い上げて詩的な映像に結実させたのはフセイン監督の力量でしょう。
映画音楽はビージーズの曲ですが、映画にふさわしい甘美なメロディを奏でています。

小さな恋のメロディ
10

美しい音楽と映像のノスタルジー映画

まるで気持ちの良い5月の朝のような、清々しい気持ちにさせてくれる映画です。
舞台は70年代のイギリスロンドンの公立学校。
11歳のダニーは、友達と、女の子たちのバレエのクラスをこっそり覗きます。
その時、ひときわ輝いて見えた女の子。
ダニーは、メロディに一目惚れします。
最初は上手くいかないながらも惹かれ合う二人。
ほほえましく、またどこか懐かしいような優しい気持ちにさせてくれます。
彼らの友達もキャラが立っていて、愛さずにはいられません。
この映画は最初から終わりまでビージーズの音楽に彩られています。
「In the morning」で始まるオープニングは、そこだけでも十分なストーリー性を感じられます。
誰もが一度は耳にしたことのある有名な楽曲、「melody Fair」や「First of May」も、この映画が元になっています。
また、当時の学校の雰囲気や、街並みも味わうことができます。
かわいいギンガムチェックの制服や、遊園地やビーチも見どころです。
じっくり集中して観るのもいいですが、全編に音楽が使われているので、作業しながらやのんびり過ごしたい時などに、BGMやミュージックビデオのような見かたをするのもオススメです。
かわいくて爽やかで癒される。
そんな映画だと思います。