ヴァーリアの花婿

ヴァーリアの花婿

『ヴァーリアの花婿』とは、あきづき空太による漫画短編集、およびその表題作である。白泉社の「花とゆめコミックス」より2012年3月5日に刊行された。著者にとって初となる読み切り作品集であり、ファンタジーの世界観を軸にした珠玉の短編が収録されている。
表題作『ヴァーリアの花婿』は、行方不明となった兄を捜すために旅に出た弟とその許婚の姿を描いた物語である。このほか、天龍が守護する世界で龍の子と巫女の運命を綴る「龍の守唄」、魔法の恩恵から離れた白い平原で二人の男女が出会う「銀世界の証明」、水神に祝福された土地の真実に迫る「おとぎばなしの筆」の計4編が収められている。
著者のあきづき空太は、2003年に「ユートピア」でデビューし、代表作『赤髪の白雪姫』などで知られる漫画家である。本作においても、著者の持ち味である愛とファンタジーに満ちた抒情的な物語が展開されており、デビュー初期から培われた確かな描写力と世界観を堪能できる一冊となっている。

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ヴァーリアの花婿のレビュー・評価・感想

ヴァーリアの花婿
8

あきづき空太さんの贅沢な短編集

花とゆめコミックスのマンガ短編集です。あきづき空太さんの作品ではアニメ化もされた「赤髪の白雪姫」という長編を知っている方のほうが多いかもしれませんが、この短編集はあきづき空太さんの良さが詰め込まれておりつい見返したくなります。
収録されているのは順番に「ヴァーリアの花婿」「龍の守唄」「銀世界の証明」「おとぎばなしの筆」の4作品です。
特に推したいのは短編集のタイトルでもある「ヴァーリアの花婿」です。
主人公はとある部族の長女ヴァーリア。ある家の長男で許婚だったジルが行方知れずとなり、彼の代わりに次男ルセルが許婚となりました。結婚ももうすぐそこに迫った頃、ヴァーリアは納得がいかずジルを探しに行きますが、そこにルセルも同行します。
二人の関係は悪くないのですがどうしても間に入る「長男ジル」、「許婚」というキーワードが二人にとって納得のいく心持ちにさせてくれません。
ヴァーリアは一方的に置いていかれた感情を持ちつつジルを見返すつもりで待ち続けていました。その気持ちを知っているからこそ努力するルセルと彼女の間には、思いやりがありつつもお互いに踏み込みきれない様子が読者をもどかしくさせます。
でもジルが見つかったことによって二人のお互いへの思いがわかり、晴れて結婚することになります。
他の作品も民族的な雰囲気やファンタジーの感じがとても良くて、読み終わったあとはほっこりします。