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陰鬱さも汚れもその全てが美しい
このゲームは、『陽の世界』と『陰の世界』から成り立っている。1997年5月22日の香港返還を前日に控えたこちらの世界『陽界』に、あろう事か裏の世界『陰界』の九龍城が現れたのだ。 『陰界』は『陽界』の対となる世界だ。二つの世界が不用意に交わる事になり、調和を崩せば世界意味を失い、崩壊してしまう。『陽界』では風水の力によって調和を得ているが『陰界』ではその風水が見当たらないという。世界を元の姿に戻す為には『陰界』で、『白虎』『朱雀』『玄武』『青龍』の『四神獣』の見立てを行わなければならない。そこで、香港最高風水会議により、主人公である『超級風水師』が九龍城へ潜入する事になった。主人公についてはあまり語られてはいない。主人公に関する書籍やプレイヤーの考察等はこうだ。主人公は高位の超級風水ゆえに難解な任務を受け負っていたが、致命的なミスを負ってしまう。謹慎後に調査と称した捨て駒及び解雇のような形で、また一方では、超級風水としての実力を買われて、はたまた別の意見では、この超級風水師に何かがあり、陰界に行くべき人物である等ある。この『陰界』というのが、本当に陰鬱で、それでいて何処か綺麗な、不思議な世界だ。街は常に夜のように薄暗く、此処彼処が汚れ、淀み、壁には不審な貼り紙が貼られている。住人達も怪しげな者が多い。『びん屋』、『ねじ屋』、『水銀屋』、『錠前屋』、『双子屋』、といった怪しげな店の店主らを始め、主人公と敵対する者、主人公の助けとなる者でさえ何処か奇妙な雰囲気を纏っている。しかし、そんな陰鬱さや不気味ささえも美しく、心地良いと思えてしまうのだ。このゲームをプレイするにあたり、常識は今のうちに捨てておく必要がある。