ウォールフラワー / The Perks of Being a Wallflower

ウォールフラワー / The Perks of Being a Wallflowerのレビュー・評価・感想

ウォールフラワー / The Perks of Being a Wallflower
8

ハイスクール1年生の少年の魂の成長を描いた佳作『ウォールフラワー』

『ウォールフラワー』は2012年に公開された米国の青春映画で、脚本と監督はスティーブン・チョボスキー。1999年に発表された同名の小説(チョボスキーによる)が原作です。ローガン・ラーマンが名前を知らない友だちに手紙を書く、チャーリーというティーンエイジャーとして出演しており、この手紙は高校1年生の日々を送る彼の試練、苦しみ、そしてそれらを乗り越えた後の勝利を跡付けています。チャーリーの女友だち役がエマ・ワトソンとエズラ・ミラー。本作には、その他に、メイ・ホイットマン、ケイト・ウォルシュ、 ディラン・マクダーモット、ジョーン・キューザック、ポール・ラッドが助演で出演しています。
チョボスキーは小説の映画化を常に考えていましたが、焦ってそうはしませんでした。彼は映画化権を第三者に売ることを躊躇していましたが、監督と脚本は自分が務めるという条件で結局ミスターマッドプロダクションに売却しました。撮影はペンシルヴァニア州ピッツバーグで2011年5月に始まり、ほぼ55日間続きました。これはジョン・マルコヴィッチ、リアン・ハルフォン、ラッセル・スミスのミスターマッドプラクションが葛藤する10代を描いた3作品のうちの最初の作品となりました。
『ウォールフラワー』は2012年のトロント国際映画祭で世界先行上映され、スタンディングオベーションで迎えられました。映画は批評家に好意的に迎えられて、彼らはチョボスキーの脚本と監督手腕、ラーマン、ワトソン、ミラーの演技、音響、感情の描写を賞賛しています。興行的にも成功をおさめ、予算1300万ドルで3340万ドルの収益をあげました。

ウォールフラワー / The Perks of Being a Wallflower
8

学校になじめなかった人は共感間違いなし

高校のスクールカースト底辺の男の子チャーリーが主人公のお話です。美女と野獣、ハリーポッターのハーマイオニー役を演じて有名なエマワトソンとファンタスティックビーストに出演していたエズラミラーが出演しています。主人公は小説家を目指す内気な男の子で、学校での立ち位置は日本でいう陰キャラに当てはまります。アメリカは日本と違って、ホームパーティーを開いたり、いじめの仕方も違って日本と違う学生生活を送っていて面白かったです。タイトルのウォールフラワーとはダンスパーティなどで誰にも話しかけれず壁際に佇む人を指します。内気な主人公が同性愛者であることを隠している学校で目立つ存在のパトリック、その義理の妹のサムと仲良くなっていき友情や恋を知り成長していく物語です。それぞれ仲間たちが何か心に問題を抱えながらも前を向いて懸命に生きていて、青春時代を思い出す映画です。車でトンネルを走っているシーンがとても良くて、見た後にはデビッドボウイのheroesを流したくなると思います。音楽も映像もとても印象的で心に残る映画です。学生時代不登校を経験した自分には刺さったので、学生時代になじめなかった人に楽しんでもらえる映画だと思います。

ウォールフラワー / The Perks of Being a Wallflower
10

最高の青春映画

物語は小説家志望の主人公チャーリーが高校に入学したところから始まります。入学初日に友達はできず、仲良くなれたのは国語の先生だけ。そんなチャーリーはある日学校のアメフトの試合を見に行き、そこで明るく自由奔放なパトリックと出会います。その出会いをきっかけに仲間ができる、というのが大まかな流れです。
この作品は、陰キャの主人公に友達ができて楽しく過ごせました、なんて単純で安っぽい作品ではありません。現実と同じく、主人公やパトリックを含め登場人物はトラウマやコンプレックスを抱えており、楽しい面、良い面だけではない心の複雑さが感じられて作品に深み、厚みを出しています。そういったディティールへのこだわりがリアリティを生み、この王道のストーリーを至高の作品へと昇華させています。
楽しいこともあるし誰かを傷つけたり傷ついたりすることもある思春期の難しさを感じたとともに、かけがえのない仲間とともに友情を深め、チャレンジして、成長していく様は自由で万能感を感じるほどの青春だと思います。もう二度と取り戻せないあの頃の青春に浸りたいときに見たい作品でした。また、この作品のメインヒロインはエマ・ワトソン演じるサムなのですが、超美人なエマ・ワトソンを見るだけでも価値があります。

ウォールフラワー / The Perks of Being a Wallflower
9

壁際の花

「パーシージャクソン」シリーズのローガン・ラーマン、「ハリーポッター」シリーズのエマ・ワトソン、「少年は残酷な弓を射る」で注目されたエズラ・ミラーと有名な若手が出ているので観てみました。
ウォールフラワーという名前の通り、パーティーでは壁際にいる主人公のチャーリー。ある日のパーティーでダンスフロアの真ん中で踊るパトリックとサムと出会うことで壁際の彼が一歩を踏み出します。多感な高校生特有の心の葛藤、恋、友情系の内容かと思いきや、性、ドラッグ、文学なども描いた作品でした。
劇中で出てくる映画や本などは、観ていないと分からない部分もありますが、あまり気にならない程度です。知っている方は更に楽しめると思います。
途中でチャーリーが付き合っている彼女にうっかりサムのことが好きだと口走ってしまい仲間外れにされたり、いじめられているパトリックを助けまた仲間に戻ったり、思わずあるある!と言ってしまうようなエピソードから、友人の自殺、同性愛に悩む友人、性被害など重いエピソードもあり、大人も考えさせられる内容になっています。特に印象深いのは夜のハイウェイを三人でドライブするシーンです。感動的に美しく、夜ドライブに出かけたくなるようなシーンでした。今となっては有名になったエズラ・ミラーの儚げな美しさもお勧めしたいポイントです。