ドラゴン・タトゥーの女

ドラゴン・タトゥーの女

『ドラゴン・タトゥーの女』とは、スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンによる推理小説、およびそれを原作とした映画作品である。原作は「ミレニアム」3部作の第1部として2005年に発表された。社会派ジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィストと、背中に竜の刺青(タトゥー)がある天才ハッカーのリスベット・サランデルが、富豪一族で36年前に起きた少女失踪事件の謎を追う。
著者であるラーソンは全10部の構想を抱いていたが、第1部の出版を待たずして2004年に急逝した。死後に刊行された3部作は世界的なベストセラーとなり、北欧ミステリーの代表作として不動の地位を築いた。後にダヴィド・ラーゲルクランツによる続編も執筆され、全6部でシリーズは完結している。
映像作品としては、2009年にスウェーデンで映画化された『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』が英国アカデミー賞非英語作品賞を受賞し、主演のノオミ・ラパスによる強烈なリスベット像が大きな反響を呼んだ。また、2011年にはデヴィッド・フィンチャー監督、ダニエル・クレイグ主演によるハリウッド映画版が公開され、第84回アカデミー賞編集賞を受賞するなど高い評価を得た。
本作は緻密なミステリーの面白さに加え、女性への暴力や腐敗した権力といった社会問題、そして孤高のヒロイン・リスベットの特異なキャラクター性が魅力となっている。

ドラゴン・タトゥーの女のレビュー・評価・感想

ドラゴン・タトゥーの女
9

生い立ちに難のあるドラゴンタトゥーの女が、真実を暴くサスペンス映画

『ドラゴン・タトゥーの女』はその映画タイトルの通り肩から背中にかけてドラゴンのタトゥーのある女性「リスベット」と、雑誌記者の「ミカエル」が手を取り合い、40年前の「とある一族の失踪事件」の真実をあばき出すサスペンス映画です。

リスベットはその生い立ちに難があり、また自身の非行から23歳という年齢にも関わらず、アメリカ合衆国から被後見人の審判を受けています。リスベットは他人とうまくコミニュケーションを取ることが出来ません。塞ぎがちではあるものの、尋常ではない記憶力の持ち主で、いわゆる天才肌です。

一方、雑誌記者のミカエルは大物政治家の汚職を告発したものの裁判に敗れてしまい、地位も名誉も奈落の底に突き落とされてしまいます。
失意のミカエルにスウェーデン有数の財閥ヴァンゲル家の当主より連絡があり、ヴァンゲル一族が隠したがる「40年前の失踪事件」の真相を究明してほしいという依頼が訪れます。
ミカエルは、ハッキングを得意とするリスベットの協力を得ることに成功し、少しづつ失踪事件の真実に迫ることとなります。しかし真実に近づくほど何者かにそれを阻まれるようになり、クライマックスでは驚愕に次ぐ驚愕の真実が暴かれます。

ドラゴン・タトゥーの女
10

ドラゴン・タトゥーの女

ストーリーとしては数十年前の失踪事件の調査を依頼されたジャーナリスト・ミカエルが、パンクロッカーのようないでたちの女・リスベット(ドラゴンタトゥーの女)とともに事件の真相を追うというミステリーサスペンスものです。
この映画の魅力の一つは過激な描写です。デビット・フィンチャーが監督をしているだけあって、どのシーンにも常にビリビリした空気を感じます。金のために支援所の男にリスベットがレイプされるシーンは衝撃的ですが、それ以上に彼女が彼にする復讐は想像を絶するものでした。
もう一つはラストシーンです。怒涛のような展開を潜り抜け、最終的にはミカエルとリスベットは真犯人を見つけて事件を解決します。すべてが大団円で収まりハッピーエンド…と思った最後の瞬間、最後のシーンだけが恐ろしく切ないのです。眉を剃り、ピアスを顔中につけ、それまでほとんど人間らしさを見せてこなかったリサベットが最後の一瞬だけ切ない表情を見せるのです。人を信じず自分だけで生きてきた彼女は事件の調査を通してミカエルの優しさに触れ、もしかしたら彼と一緒に人生を歩んでいけるかもしれないという希望を無意識のうちに抱いていたのです。ところが最後のシーンでその希望は幻であると気付き、冬の街を一人去っていきます。
繊細な人にはあまりにも過激であまりにも振れ幅が大きい映画だと思います。ですが、だからこそこの映画が素晴らしいと思うのです。