主に泣いてます

主に泣いてますのレビュー・評価・感想

主に泣いてます
8

ギャグとシリアスの絶妙なバランスが癖になる作品

『海月姫』や『タラレバ娘』、『美食探偵』などドラマ化にもなった作品を世に多く送り出している、東村アキコ先生の漫画作品。『モーニング』で連載され、全124話、コミックは全10巻発売されています。2012年7月に菜々緒さん主演でテレビドラマ化されました。

少女漫画らしい繊細で綺麗な画風ですが、内容としてはギャグ漫画の雰囲気も強く、じわじわとくる独特な表現がくすっとくる作品です。しかし面白さのみではなく、ストーリーには深い部分もあり、生き方を考えさせられるような惹きつけられるストーリーになっています。

主人公は美人すぎるゆえに生きにくさを感じている一人の女性。既婚者である有名画家の青山仁の愛人であり、モデルをしています。出会った人には100パーセント惚れられてしまい、同性からは嫉妬をされ、仕事もままならずこっそりと生きている主人公。
美貌を活かして堂々と生きれればいいですが、とても繊細で天然なところがあり、生きづらくいつもめそめそと泣いてばかり。いつか愛人と一緒になりたいと願っていましたが、友人やその知り合いとの関わりの中で成長し、模索をしながら自分らしさを見つけていきます。
ギャグ的な要素がかなり散りばめられており、わちゃわちゃとした登場人物の掛け合いも楽しみながら、ストーリーにも惹き込まれていく作品です。

主に泣いてます
6

主に泣いてます

実写化されたテレビドラマを見たことから、気になって原作の漫画を読んでみました。
初めて見たときに「主に泣いてます」というタイトルが綺麗だなと思いました。そこから予想していた内容とは大きく違い、かなりコメディー色の強い作品でした。作者は「海月姫」や「かくかくしかじか」「東京タラレバ娘」などの人気作を出している東村アキコさんです。東村さんはとても絵がお上手で、本気で描いたときのキャラクターと思いっきりギャグに走ったときのタッチの差が激しいところも注目ポイントかなと思います。
あまりにも美しすぎるが故に周りの男性たちを惹きつけすぎてしまい、日々の暮らしですら苦労しているという女性が主人公です。彼女を取り巻く周りの人たちの個性が強すぎて本当におもしろい作品です。連載当時の時事ネタやゴシップネタ、世代を感じさせるフレーズなど、読む人によってひっかかるポイントは違うかもしれませんが、本筋とは関係がないようなセリフにも思わずニヤッとさせられます。
最後、数々の苦難を乗り越えた彼女が見つけた理想の世界が、私からするととても意外でしたが、幸せは人によって感じ方が違うということなのだろうなと感じました。このラストも読む人によって感想が違ってくると思うので、まだ読んだことのない人にはぜひおすすめしたいです。