7
当時としては本音で人生相談できる場
この漫画は高校の用務員の村田厳格が、作品内部から現実世界における人生相談に乗るという形式の作品であり、作者の小林よしのりならではの独特の着眼点から生まれた漫画と言えるでしょう。
この漫画が連載されていた1980年代は、オタクが「犯罪者予備軍」というレッテルを貼られ、保守派が「右翼」と忌み嫌われ、流行に乗らない人が徹底的に排斥された、ある意味では無理解と偏見に満ちた時代ですが、この作品はそんな中でも本音で人生相談に乗ってくれる良心的な漫画であったと考えられます。
中には冗談めかしたとしか考えられない回答、出鱈目と看做すべき回答もありますが、基本的には真剣かつ親身な姿勢で答えてくれます。個人的に作者とは思想があまり合わないのですが、この作品に関しては非常に素晴らしいと思っています。
ただ、時々ですがエッチなネタでお茶を濁したり下品でお馬鹿な演出で胡麻化したりと、ギャグ漫画を本領とする漫画家としての性質が裏目に出ている面があります。
作品自体だけを評価するならば本当は8点という評価であってもおかしくないのですが、個人的な考えとして作者の思想が受け入れられないので、自分の偏見も勘案して7点としておきます。