盲目のメロディ〜インド式殺人狂騒曲〜 / Andhadhun

盲目のメロディ〜インド式殺人狂騒曲〜 / Andhadhunのレビュー・評価・感想

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盲目のメロディ〜インド式殺人狂騒曲〜 / Andhadhun
8

ダンスなしでも楽しめるインド映画

インド映画といえばダンスや派手なアクションのイメージが強いですが、この作品は実にまっとうなエンタメ作品であり、ミステリとしても楽しめる映画です。盲目のフリをしているピアニストが殺人現場に出くわして、けれど見えていることを言うわけにはいかず…という導入から、既にかなり独創的な展開を期待できますが、その期待を上回り、そして予想のつかない方向へ物語が転がっていき、全く飽きさせないまま二時間があっという間に過ぎていきます。誰が味方で誰が敵なのか、嘘を言っているのか本当のことを言っているのかを、考えながら惑わされながら見れる楽しい作品です。
主人公のピアニストと対峙する元女優の悪女ぶりがとても魅力的ですばらしい演技です。話の締め方としては「もしかして…?」と思わせる余韻を残していたり、主人公もかなりの巻き込まれ型ではあるものの、実はしたたかな面があることがわかるなど、単純ではないキャラクター作りも良かったです。
また意外性も強く意識した作りで、映像で実は冒頭からヒントが差し込まれていたり、小道具が仕込まれていたりと凝った構成にもなっています。
インド風俗や社会問題も少しうかがうことができて、なかなか濃く楽しめる作品でした。