37.5℃の涙

37.5℃の涙のレビュー・評価・感想

37.5℃の涙
9

病児保育に焦点を当てた心が温まる漫画

この漫画は病児保育に焦点を当てられた他にはあまり見ない漫画です。2015年には連佛美沙子さんが主演でドラマ化もされています。主人公は新人保育士の杉崎桃子です。
この漫画のポイントはやはり病児保育がテーマであること。病児保育を知らない人にも伝わるような内容であるのに加えて、仕事をしている親とその子供について描かれています。そういう部分では社会派と漫画であると言うこともできるかもしれません。
桃子の病児保育を通して、寂しい思いをしてしまっている子供とその親の問題が解決していくところはとても心が温かくなります。日本は両親のどちらもが仕事をしている家庭が増えています。誰しもがその可能性があるからこそ、この漫画を読んで欲しいです。
また桃子の一生懸命なところもこの漫画の良い所です。笑顔が作れず、新人であるので仕事も思うようにいきません。それでも桃子なりに病児保育で行くことになった家の子供を自分なりに元気にしようと奮闘している姿は可愛らしく、また自分も一生懸命頑張ろうと勇気をもらえます。
1巻では桃子が今までお母さんに1度もお弁当を作ってもらったことがないことが明らかになっていました。上手く笑顔が作ることができない原因もどうやらそこにあるようでした。桃子の家族の事情、そして桃子はそれをどうやって乗り越えていくのかも2巻以降がとても楽しみです。

37.5℃の涙
10

ドラマ化もされた名作漫画

タイトルの数字は、子供が保育園へ通える体温のボーダーラインだそうです。
熱が出ていたりするために保育園へは行けない、しかし、保護者は仕事があるために一緒にいられない。そんな時に、病気の子供を世話をする病児保育士を行う主人公たちと、その対象となった子供たちの姿を描きます。

心を開いてくれない子供や、病院に行くべきか微妙なラインで具合の悪い子供だけでなく、気難しい親やクレーマー体質な親もいるという、実際の現場でも起こり得るであろう困難が主人公を待ち受けます。

主人公は女性で、名前を杉崎桃子と言います。
彼女自身が幼少期から児童虐待の被害に遭い続けていて、そのために苦しい境遇にある子供の気持ちを理解することができます。
悲惨な経験をしながらも素直で真面目、子供に愛情深い性格を持っている彼女だからこそのことで、決して器用とは言えないまでも真摯に病児保育に励む姿は、尊敬を覚えずにいられません。

作中でもその姿は利用者親子に伝わっているようで、病児保育の時には桃子を指名するという人もどんどん増えていく様は、彼女の成長を的確に表していると思います。

現実的には子供が好きなだけでは務まらない難しい職業であるとは思いますし、このような作品を見ているとそういった綺麗事だけではない面を知ることができ、勉強になりました。