ヤンキー君と白杖ガール / ヤンガル

ヤンキー君と白杖ガール / ヤンガルのレビュー・評価・感想

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ヤンキー君と白杖ガール / ヤンガル
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不良、障害、同性愛、虐待被害者たちの、普通の恋

名前を聞いただけで噂を知る人が逃げるような黒川が、弱視で白杖を使用して生活するユキコに惚れることから物語が始まります。

黒川は周りにいるのが敵と子分ばかりでしたので、他人との対等なコミュニケーションが苦手です。そのため、ユキコとのコミュニケーションも上手くはできず凹むことが多いですが、ユキコはそんな彼にも他の人と関わるのと同じように対等な関係として接します。
ユキコの人との関わり方は基本的に相手と対等で、相手を下に見ることも自分を下にすることもありません。障害を持っていると言えば、差別の対象になりやすい現実を否定できませんが、彼女のその姿は本当の平等主義者に見えます。

ユキコの同級生で弱視の女の子に好意を持った男性が彼女が走る道へ意図的に障害物を置くという事件が起きましたが、その加害者は日頃から虐待的な扱いを受け続けていることもあり、コミュニケーションの仕方を加害と被害でしかわからない青年でした。

同性が恋愛対象でありながら、社会的に同性同士の恋愛がいまだに偏見にさらされていることなどから想いを告げられない男性もいます。

健常者・障害者とも、お互いの身体的特徴や境遇により、困難な状況にありながらも人を愛し相手の幸せを願う様は、綺麗事だけではない人間の恋愛模様そのものに感じられます。