東京タラレバ娘 / Tokyo Tarareba Girls

『東京タラレバ娘』とは、2014年5月号から2017年6月号まで『Kiss』(講談社)に連載された、東村アキコによる恋愛漫画である。コミックスは全9巻刊行され、2021年2月時点で電子版を含む累計発行部数は550万部を超えた。
2013年に東京オリンピックが開催されることが決まり、作者の独身の友人が1人で東京オリンピックを見るのは嫌だと言い始めたことを元ネタにしている。
物語も独身の鎌田倫子(かまたりんこ)と香(かおり)、小雪(こゆき)が居酒屋で愚痴を話すことが多い。そこに倫子とKYEの恋愛話も織り交ぜ、独身女性の微妙な心情を描いている。
本作品は2014年に「このマンガがすごい!」でオンナ版第2位獲得した。2015年には「第6回ananマンガ大賞」を受賞し、2015年度「コミックナタリー大賞」で第4位を獲得した。また「アイズナー賞」で最優秀アジア作品賞も受賞した。2017年1月18日から3月22日までテレビドラマが放送された。倫子役を吉高由里子、香役を榮倉奈々、小雪役を大島優子が演じる。

東京タラレバ娘 / Tokyo Tarareba Girlsのレビュー・評価・感想

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東京タラレバ娘 / Tokyo Tarareba Girls
7

共感しつつ、叱咤激励されている気持ちに

作者の周りにいる女子たちから着想を得たという『東京タラレバ娘』。大都会の恋愛事情の現実を、シビアに、そしてコミカルに描き出しています。
独身の女子だけで集まっては、恋愛について「あーでもない、こーでもない」と語り合うけども、一向に何も解決しない。こういう状況ってすごくわかります。
海外ドラマ『Sex and the City』でも、同じような光景を見ましたし、女の悩みって世界共通なんだなぁと思いました。
『Sex and the City』のキャリーは恋愛コラムのライターで、『東京タラレバ娘』の倫子はドラマの脚本家と、どちらの主人公も恋愛を扱う執筆業というところも共通しています。
そういう主人公だからこそ、恋愛について語らせやすいのかもしれません。
「あのときこうだったら、ああしていれば…」と語り合うタラレバ娘の三人組は、みんなアラサー。
20代の頃は勢いもあるし、まだ楽観的でいられたのに、30代に突入すると、自分の置かれている状況に向き合わなきゃいけなくなる。
アラサーって、まだまだ自分のスタンスが確立しきってない状態だと思います。
そういう、微妙な年齢に達してしまった女子たちのもがきにリアリティーがあって、笑えるんだけど、笑いごとじゃ済まされない作品になっています。
倫子たちに共感しつつも、叱咤激励されているような気持ちになりました。

東京タラレバ娘 / Tokyo Tarareba Girls
7

たられば、言ってんじゃねーよ

たらればたられば、うるせえなあと思うところは正直あります。それになんだかんだ言って、おばさんと若い女じゃ、若い女の方がモテるに決まってるし、実際にこのくらいの年代の人がまた恋愛市場に返り咲けるのだろうか。でも、その恋愛は正当派のものではないし、登場人物も自分らが崖っぷちだってことをよく知ってるから、読んでて共感が持てました。まだ自分に気があるんじゃないかと勘違いしていたことを恥に感じたり、若い男とやっちゃったり、不倫やら二股から抜け出せなかったり、30代女にはいろいろあるよねと思いました。恋愛面でこんなにこじれてしまったのも、同じような女友達とぐずぐずぐずぐず、傷を慰めあっていたから、女友達との本音飲み会が楽しすぎるからというのも、共感できるポイントです。確かに、男がいないほうが楽しい気もしますし、まだ若いよねと女同士で慰めあったりしちゃいます。現実はそうじゃないよ、タラれば言ってないで変われてことを作者は言いたいのかもしれません。もちろん、独身でも楽しく過ごせる人はいると思うので、すべての人にそう言っているわけではなく、恋愛したい、結婚したいと思っているなら、実は時間がないんだよってことだと思います。説教臭いようでいて、話展開はコミカルだし、絵もきれいで読みやすいし、面白い作品だと思います。