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コールドスリープ後のパニックホラー漫画
世界に人間が石化する奇病「メドゥーサ」が蔓延し、未来に希望を託してコールドスリープするも、目覚めるとモンスターが闊歩していた、という状況は映画でも見かける王道的絶望感があります。
本作の主人公カスミはメドゥーサが進行し続ける中、モンスターに襲われる。壊れた施設はいつ落下してもおかしくないボロボロの状況で、他の生存者と施設の脱出を試みる。
同行者の中で最も頼りになるマルコを見ていると、非常時における筋力・体力というフィジカルと冷静な判断力、知識、経験の重要性を再認識します。筋肉は裏切らない。
一方でモンスターの強大な生物という脅威には、フィジカルによるゴリ押しでも絶対に敵わないというシーンもありますが、ここではフィジカルの強さが絶望感の演出として輝いています。
訳がわからない状況から、少しずつ真相がわかっていくこともパニックホラーの1つの楽しみ方だと思います。
最後まで何もわからず考察する作品も楽しいですが、いばらの王ではわかりやすく何がどうしてこうなってしまったのか、が語られるため、読後感の良い作品でした。
劇場版アニメでは世界的な賞を複数受賞していて、いかにこの作品の完成度が高いかが分かります。
漫画版と劇場版アニメで展開が異なるのも、深くこの作品を楽しめる要素の一つです。