オリジナル・ラブ

オリジナル・ラブのレビュー・評価・感想

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オリジナル・ラブ
10

ブラック・ミュージックとJ-Popの幸せな出会い

オリジナル・ラブは田島貴男を中心とした所謂、渋谷系のアーティストです。
JazzやR&Bに通ずるオシャレなコード進行とグルーヴ、洗練された甘いメロディが多く、マニアック一辺倒になることがないポップ性は90年代J-Popと出会い、ドラマ主題歌としてタイアップされるなど大衆性も併せ持った稀有なアーティストなのです。
メジャーデビュー以前はネオGSと呼ばれるムーブメントに括られたこともあるサイケデリックな作品も存在したり、田島貴男のソングライティングの引き出しが多い証明にもなっています。
オリジナル・ラブの魅力はそんな田島の天性のヴォーカルにもあります。マーヴィン・ゲイ等のソウルミュージックからの影響が顕著な熱く、時に甘い太めの歌声はリスナーの琴線に触れる才能です。そしてその歌を支えるのがグルーヴたっぷりのリズム隊と切れ味鋭いギターカッティングや煌めくようなホーンセクションです。
ブラック・ミュージックの代名詞であるモータウン・サウンドを下敷きにしながらファンク経由のR&Bサウンドは中毒になります。ブラック・ミュージックを聞き始めたい…でも洋楽を聞くのは敷居が高そうと思っている方がいらっしゃいましたらまずはオリジナル・ラブを出発点とするのは如何でしょうか。

オリジナル・ラブ
10

現代日本における最前線のミュージシャン

オリジナル・ラブというミュージシャンを一言で表せば、常に現在進行系のポップスという言葉が適切です。
メジャーデビューは90年代初頭ですが、現在まで約30年以上に渡って常に国内で評価の高い作品をコンスタントに作り続け発表してきました。
代表曲は「接吻」「プライマル」「朝日の当たる道」といったところが特に90年代にお茶の間にも届きました。オリジナル・ラブはグループ名でしたが、今は田島貴男さんのソロユニット名になっています。田島貴男さんが初期より作詞曲、編曲、歌唱を全てこなしています。オリジナル・ラブはオリコンチャートにて上位を取りテレビにどんどん出演するというよりもミュージシャンにリスペクトされるミュージシャンです。その理由は多岐にわたります。私が思うところで挙げてみると、ロック、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、レゲエ、昭和歌謡など多岐にわたるジャンルをフォローした楽曲、凝ったコードの展開、同時代の洋楽を吸収していること、日本人には珍しい特徴があり声量がある歌唱法、加えて近年ではジャズやパーカッシブな要素を取り入れたギター演奏など驚異的な幅の広さと深さを挙げられると思います。しかし、私が加えて何よりすごいと思うのは音楽に対する情熱です。ライブパフォーマンスを一度でも良いので見ていただきたいのですが、楽曲や演奏の確かさと両立してカッコいいとかダサいとかそういうことを超越した人間的な熱量が何より爆発しています。一度で良いので是非。