ひぐらしのなく頃に卒

ひぐらしのなく頃に卒

『ひぐらしのなく頃に卒』とは、竜騎士07原作のアニメ作品で、2020年放送の『ひぐらしのなく頃に業』の続編。同シリーズは2006年から断続的にアニメ化されてきた人気作である。
繰り返される昭和58年6月の中、日本の田舎町・雛見沢村で次々に起きる怪事件。その全ては、村を出て行こうとする古手梨花を引き留めるために、北条沙都子が裏で糸を引いたものだった。果たして沙都子は事件の裏でどのように暗躍していたのか、無数の惨劇を重ねた彼女たちの行く先に何が待ち受けるのか。物語は真の結末に向けて動き出していく。

ひぐらしのなく頃に卒のレビュー・評価・感想

ひぐらしのなく頃に卒
3

頭の中を空にして見る考察アニメ

『ひぐらしのなく頃に』のアニメはゲームが元となっており、基本的にゲームと同じく2部構成のホラーサスペンスで、ストーリーが展開されて行きます。
このシリーズは主人公が2人存在しており、1人は昭和58年の雛見沢という舞台全体から見た主人公・古手梨花です。もう1人は短編ストーリーの視点となる、主人公・前原圭一です。彼をメインに引き起こされる様々な惨劇に、何度でも立ち向かうというループ系のタイトルとなっております。

前編でストーリーの大筋が描かれ、後編でそのストーリーの裏付けを行い、伏線を回収していくという流れです。
今回はその続編で「業」と「卒」という2部構成でストーリーが展開していくのですが、前編の業は前作の流れを踏襲しており、『ひぐらしのなく頃に』のブランドを上手に引き継いでいると感心しました。
しかし後編の伏線回収が誰も追いつけない、かつ、全くもって意味が分からない超展開の連続を目の当たりにしました。最早惨劇はアニメの登場キャラよりも、こんなのに時間を割いた視聴者に降りかかったといっても過言ではない程に、ひどい出来栄えでした。

例えば、前作は昭和58年の6月に主人公である古手梨花が殺されてしまうため、この未来を変えるべくもう一人の主人公である前原圭一と雛見沢分校のクラスメイトと共に、死の危機から逃れるという王道ストーリーでした。
しかし今作はループの原因が無茶苦茶でした。古手梨花の親友の北条沙都子が勉強ができなかったため、名門である聖ルーチア学園に無理やり進学に成功したものの、落ちこぼれた腹いせで梨花を恨み雛見沢を滅茶苦茶にするという、スケールがあまりにも小さくくだらないことでループが起こっていたというオチでした。そして謎解き要素の欠片もなく巧妙な斜術トリックに惑わされます。
「正答率1%」とかつてはうたわれていた『ひぐらし』も、今作はいきなり殴り合ったり、目覚まし時計と包丁で争ったらまさかの時計側がタフ過ぎて勝利したなど、意味不明過ぎて正答率が1%という内容でした。

皆さんには私のような惨劇に遭わないように事前にネタバレしておきます。もしもこの作品を見るのでしたら、考察する頭をかなぐり捨てて、空っぽでギャグアニメ的な楽しみ方をすると少しは楽しめる作品かなと私はそう感じました。

ひぐらしのなく頃に卒
10

伏線回収がスカッとする!

この作品はひぐらしのなく頃に業の続編となっていますが、伏線の回収が毎回スカッとさせられ各キャラの裏話を見られるような作品なのでとてもおススメです。
また、この作品は沢山の章に分かれており、一番最初にアニメ化されたひぐらしのなく頃にから見るもよし、自分が見たいところから見るのもよしな作品です。ですが、最新作では黒幕が主人公目線で描かれているのでネタバレが嫌いな方は他の章から見ることをお勧めします。
業では羽生と古出梨花が主人公として描かれており、雛見沢での事件の元凶を担っているのは彼女なのではないかとも思ってしまいますが、実際彼女は100年もの長い年月の間、何度も6月の開催される綿流しでの惨劇を回避するために抗い続けています。
惨劇というのは、毎年綿流しの日に村の住民が何者かに殺されるというものです。村の住民はそのことをお社様の祟りだといい、村の巫女である梨花が毎年、奉納演武を行い供養をしています。古出家は代々お社様の巫女であり、梨花もその荷を担っていますが、本心は雛見沢をでておしゃれな女学校に入学したいと考えており、その梨花の考えを良く思わない人もいます。
その結末を変えるべく、この作品の黒幕は「えんわ」と呼ばれるものの力を借りて梨花と同じ「くりかえすもの」になります。この作品では黒幕と梨花との葛藤が多く描かれておりホラー要素のほかにも人間の醜さが表現された作品ともいえます。