濃密な恐怖を味わえるゲーム……でもボリューム不足は否めないかも
1999年に発売されたホラーゲーム『バイオハザード3 LAST ESCAPE』のリメイク作。
何と言っても目を引くのは美麗なグラフィック。崩壊していく都市をゾンビが蠢く様子は恐ろしいと同時に美しさも感じるほどです。
特に序盤のドーナッツショップなどが立ち並ぶエリアでは震えるほどの恐ろしさを味わえます。
主人公のジル・バレンタインがにも注目したいところ。女性でありながら基本的にはゾンビを前にしても屈しないヒーローらしい力強さを持っていますが、時にのぞかせるヒロインらしさ(特に本作のサブキャラであるカルロスに対してみせる)もあり両者のバランスが取れた良キャラと言えます。何より美人なのも嬉しいところ。
恐ろしげば雰囲気がありながらゲーム内容自体はクリーチャーを倒しながら進む場面が多く、ホラーというよりアクション要素が強め。
もっとも自分が弱くても苛立ちが募るので、これはこれでありだと思います。特に病院でゾンビの大軍を迎え撃つパートはかなりの爽快感を味わえるかと。
また本作を象徴する敵「ネメシス」も新たな恐怖を演出するのに一役買っています。探索中にいきなり登場しては巨体でダッシュをしたり、時にロケットランチャーなどを撃ってくるのでプレイヤー側にもとっさの対応が求められパニック状態になることもしばしば。のそのそ近づいてくるゾンビが霞むほどの存在感あり。倒すと武器のカスタムパーツがもらえるなど、リターンもちゃんとあります。
気になった点はボリューム不足感が否めないこと。ストーリー自体は5時間ほどでクリアできますし、オープンワールドゲームのようなサブミッションもないので1回クリアしてしまうと「2週目も同じでしょ」となってしまい、再プレイする気があまり出ません。「ネメシス」についても出現する場所がある程度決まっているのもマイナス。周回すると「ここで出てくるな」と予想がつくので、あまり怖くありません。オンライン前提のモードである『バイオハザード レジスタンス』が収録されているとはいえ、もっと1人で遊びたいプレイヤー向けのコンテンツを充実させて欲しかったです。またリメイク元から削除されたパートやクリーチャーがいるのも人によっては気になると思います。個人的には巨大ミミズ型のクリーチャーであるグレイブディガーがいなくなっていたのが残念でした。
気になる点はありますが完成度自体は高いのでプレイしている最中に飽きがくることはまずありません。ボリューム不足感が許容できるなら絶対プレイすべき一作といえるでしょう。