愛がなんだ / Just Only Love

愛がなんだ / Just Only Love

『愛がなんだ』とは、角田光代による恋愛小説、およびそれを原作とした今泉力哉監督による実写映画作品。
映画作品では、岸井ゆきのが主役のアラサーOL・テルコを、成田凌がテルコの片思い相手であるマモルを演じ、独立系の低予算作品としてはあまり例を見ないロングランヒットを記録した。テルコはマモルに一目惚れをしてからマモル一筋の毎日を送るが、マモルはテルコのことを都合のいい女と思っている。テルコとマモルのどうしても埋まらない距離感がリアルに描かれている。

愛がなんだ / Just Only Loveのレビュー・評価・感想

愛がなんだ / Just Only Love
9

立ち止まらせてくれる恋愛映画。愛がなんだ。

一日中好きな人からの連絡ばかり考えてしまっている人にオススメな映画です。観れば、立ち止まれて冷静になれます。
一般的な恋愛映画は素敵なところを描いていることが多いが、「愛がなんだ」は恋愛の危険性を描いており、考えさせられる恋愛映画です。当初は72館での公開作品でしたが、10代後半から30代の女性やカップルを中心にSNSや口コミで話題になり、あまり例を見ないロングランヒットを記録し、2019年の6月時点で152館まで拡大されました。それぐらい学びとユーモア溢れる内容となっています。
平凡なOLテルコはマモルに一目惚れをしてしまい、一日中マモルの連絡を待つ日常をおくるようになります。テルコは仕事が終わり帰宅して夕食を食べた後に、マモルから連絡があります。マモルから「体調が悪いから何か買ってきてくれないか?」と言われると「今、残業中。今から?仕方ないなぁ」と偽って、マモルの部屋に行くほどです。部屋に行けば、勝手にゴミの分別、掃除、タンスの衣類を畳むなど身の回りの世話をします。しかし、マモルはテルコのことを恋人としてみておらず、少々ありがた迷惑ぐらいに感じています。マルコは完全に自己満足な恋愛に陥ってしまっています。観ているとマルコに対して色々とツッコミたくなりますが、どこか共感もさせられます。
恋愛に息詰まっている人やこれから幸せな恋愛をしたい人に、役に立つヒント満載の映画です。

愛がなんだ / Just Only Love
9

一生宝物にしたい映画

この映画を見終わった直後、立ち上がることができず涙が止まらなかった。主人公のテルコは、マモルに片思いしている。恋してからというもの仕事をクビになったり人間関係が崩れたり、振り回されっぱなしの毎日である。それでもテルコはマモルに尽くし幸せだという。一方マモルはテルコに興味は全くなく、愛もない。そんな恋辞めてしまえと思わず言いたくなる状況のオンパレード。しかし、絶対に理解しえないはずの主人公にいつの間にか共感し応援したくなっていた。片思いしている人にこそ見て欲しい映画である。最も印象的だったのは、最後のシーンである。恋が成就という形で報われなくとも、テルコは最後までマモルにとらわれている。それに気がついたとき、思わず胸がざわつくことだろう。また、この作品には様々な恋が描かれている。どれも切ない一方通行の恋で共感できるものばかりである。本当の「愛」とは何か。「愛」は正しいのか。深く考えさせられる作品である。呼吸を忘れてるほど、のめり込むことのできる作品である。ひとつひとつの描写が美しく、映像美として芸術的である。また、キャスト陣の演技力が高い。とにかくあらゆる要素で評価できる素晴らしい映画である。