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一生宝物にしたい映画
この映画を見終わった直後、立ち上がることができず涙が止まらなかった。主人公のテルコは、マモルに片思いしている。恋してからというもの仕事をクビになったり人間関係が崩れたり、振り回されっぱなしの毎日である。それでもテルコはマモルに尽くし幸せだという。一方マモルはテルコに興味は全くなく、愛もない。そんな恋辞めてしまえと思わず言いたくなる状況のオンパレード。しかし、絶対に理解しえないはずの主人公にいつの間にか共感し応援したくなっていた。片思いしている人にこそ見て欲しい映画である。最も印象的だったのは、最後のシーンである。恋が成就という形で報われなくとも、テルコは最後までマモルにとらわれている。それに気がついたとき、思わず胸がざわつくことだろう。また、この作品には様々な恋が描かれている。どれも切ない一方通行の恋で共感できるものばかりである。本当の「愛」とは何か。「愛」は正しいのか。深く考えさせられる作品である。呼吸を忘れてるほど、のめり込むことのできる作品である。ひとつひとつの描写が美しく、映像美として芸術的である。また、キャスト陣の演技力が高い。とにかくあらゆる要素で評価できる素晴らしい映画である。