映画けいおん! / K-ON! the Movie

映画けいおん! / K-ON! the Movie

『映画けいおん!』とは、かきふらいによる4コマ漫画作品が原作のアニメ映画である。軽音楽部を舞台にした学園コメディー作品。女性キャラが中心であり、友情を感じる名言・名セリフが多く存在し、楽曲とともに高い評価を得ている。本作はTVアニメシリーズでは描かれなかった「卒業旅行」をテーマとした話である。
卒業を控えた軽音部3年生4人は、教室で同級生たちが「卒業旅行」を企画していることを知り、軽音部も行こうとなる。くじの結果「ロンドン」に行くことに。ロンドンで軽音部の繰り広げるゆるやか部活ライフを描く。

映画けいおん! / K-ON! the Movieのレビュー・評価・感想

映画けいおん! / K-ON! the Movie
10

卒業は終わりじゃない。

テレビシリーズから今作の劇場版まで、現代日本の女子高生の日常を映画にした珍しい作品です。
テレビシリーズのボーナスステージ的な扱いになるので、テレビシリーズ未視聴の方は見ておいたほうが本作を楽しめる事と思います。

「日常芝居というのは一番難しい」というのは演技の世界ではよく聞く話で、
本当の日常をアニメ作品、しかも映画作品にするのって、ものすごく技術の必要な事だと思います。
作中、本当に日常にありそうなさりげないワンカットからも唯達の息遣いを、生を感じます。

女子高生が主役のアニメはたくさんありますが、本作は特殊能力で俺TUEEEしたり、昼ドラのようなドロドロの恋愛をする等の派手なことは一切ありません。
どこまでいってもゆるくてぐだぐだ感のある、世界で一番有名な軽音部のちょっと特別な日常の話です。
盛り上がりに欠ける表現に聞こえるかもしれませんが、それが『けいおん』シリーズの良さであり、持ち味なのです。
「何言ってるかわからん」という方は是非一度見ていただきたいです。

そんな京都アニメーションの日常芝居が光る本作は、日本を飛び出して海外へ卒業旅行へ行く!という、ファンにはたまらないストーリーです。
正直、高校生が卒業旅行に海外!?とちょっとびっくりしました。
唯みたいなポーッとした子もいるし、国内旅行なら危険もないのでは!?と年齢のせいかついつい保護者目線で見てしまいます(笑)。

そして、この卒業旅行は別れの前兆でもあります。唯一の後輩メンバー・あずにゃんを残し、残りのメンバーは卒業を迎えてしまいます。
学生時代、なにかしらの部活をやっていた人なら一度は経験しているシチュエーションですが、
『けいおん』の世界でこういった話が出てくると、とてつもない寂しさがあります。

とはいえ、いつもの放課後ティータイムらしいぐだぐだ感は終始ずっと続いており、
ひとつのターニングポイントを迎えつつも、その先もずっと放課後ティータイムは放課後ティータイムでいられるような、
エンディングの先も何となく見える作品でした。
なんだかんだで卒業旅行から戻ったあともみんなでティータイムしているのかな、と思えてほんわかします。

未来に向かうのが不安な時に見たい映画です。

映画けいおん! / K-ON! the Movie
8

誰しもが憧れる様々な高校生活が詰まった作品

『映画けいおん!』は、2009年に第1期、2010年に第2期がテレビアニメとして放映された作品が2012年に映画化されたものです。
桜ヶ丘高校軽音楽部に所属する平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、中野梓の5人が、後輩である中野梓を除く4人の卒業旅行としてイギリスのロンドンに行く物語です。また、最後はアニメの第2期最終話からの続きとしてテレビアニメを補完した内容になっています。
この5人の会話や行動が女子高生そのものを表しているように感じられ、全ての人が高校時代に戻ったかのような感覚に陥ると思います。
平沢唯の発言や行動が面白く、行きたい所を「ヨーロッパ」と言うのですが、イギリスがヨーロッパ内であることを知らずに「ヨーロッパって、どこまでがヨーロッパなの」と高校生とは思えない発言をし、中野梓から「先輩の行く大学が気の毒になってきました」と言われてしまうシーンが特に面白かったです。軽音楽部なので曲を演奏するのですが、これも高校生とは思えないほど完成されたものでメジャーデビュー出来そうな歌声です。CDも発売されているので一度は聞いた方がいいと思います。僕はCDを購入しており何度も聞いていました。映画だけ見ても面白いですが、テレビアニメ版を見てから映画を見ると、より理解が深まってさらに面白くなると思います。