かなえられた願い

かなえられた願いのレビュー・評価・感想

かなえられた願い
8

悪魔って怖いのに

犬木加奈子さんのホラー漫画です。
13日の金曜日に悪魔を捕まえた人が自分の願いを叶えてもらうんだけど、酷い目に遭うというシリーズものです。
悪魔ってだけで、願いを叶えてもらっても代償は酷そうなのに、みんな、悪魔を捕まえたがって、人の欲望は、計り知れないなと思いました。
わたしならちょっとごめんだと思いますが、切羽詰ったらそんなこと言ってられないのかもしれません。
金とか物の物欲の人もいるし、人間関係の人もいるし、願いもいろいろでバラエティ豊かで面白いです。
願いを叶えた人もいい人もいればかわいそうな人もいます。
わたしが好きな話はいろいろあるけど、動物と喋られるようになりたい女の子なんか、すごくかわいそうな末路でした。
動物と喋れてもなんかうるさいだけなきもするけど、その子は友達も動物だけで動物にはほんとに好かれていたいい子だったからかわいそうでした。
あと、魔力が欲しいと言っていた女の子も酷かったです。
犬木さんはやっぱりセンスが良くてありふれた話でも、犬木エッセンスが入るとかなり面白くなります。
1話完結のシリーズもので、どこからでも読めるし、怖いと言ってもユーモアたっぷりなので、眠れない夜に読むのもおすすめです。

かなえられた願い
8

悪魔にかなえてもらうとは馬鹿

犬木加奈子のホラー漫画です。1話完結で読みやすいので気に入って何度も読んでいます。13日の金曜日に悪魔を捕まえる方法の本を手に入れた人が、悪魔に願いを叶えてもらう話です。本はいろいろな方法で願いを持っている人の前に現れます。そこからして、悪魔の罠のようです。最初、うまくいったと思っても、悪い方向になったり、最初からひどい目にあったりします。願いを叶えるのは悪魔なんだから、当たり前と言えば当たり前ですが、見ていて怖いです。たとえば、友達ができない内気な子は、ペットの犬と会話できたらいいねと思い、動物の言葉がわかるようにしてもらいます。その結果、動物と話せるようになったけど、人間の言葉を発せられなくなり、精神病棟に入れられてしまうのです。「動物と話したいとは言ったけど、人間とはしゃべりたくないとは言ってないじゃん」と、思いました。さすが悪魔、いじわるです。その子はそこまで悪い子ではなく、どちらかというとかわいそうな子なのに、ひどい目に遭っています。因果応報ですが。犬木さんの絵は独特で、なれないとちょっときついけど、お話は皮肉っぽくて、後味が悪くて好きです。人間誰しも叶えたい願いはあると思うし、自分も同じ目に遭うかもとなかなか怖い話でした。

かなえられた願い
9

元祖・暗闇童話!エスプリを効かせた優良ホラー漫画

一時期「本当は怖い童話」などが流行しました。最近は、大ヒットした「アナと雪の女王」の2が出ると話題になってます。人気のディズニー作品のほとんどはお伽話、神話を原作にしているのを見ると、いかに人がそれを求めているのが分かる。いくら科学が進歩して無宗教の人が増えても、それを超えた世界が裏側にあるのを、人はどこかで信じてます。合理的な思考で、窮屈な生活を強いられてるからこそ。こういうエスプリを絡めたお伽話の漫画がある。犬木加奈子のホラー漫画「かなえられた願い」。絵柄は丸顔の丸い目。体も、どことなくポッチャリしてる感じ。昭和の漫画家らしいバイタリティを感じさせる、上手いというより、強い画力。表紙のほとんどは、叫ぶ表情。笑顔の時も、和やかな微笑みではなく、悪意あるニタリ顔です。絵柄が強烈に個性的であり、そこで食わず嫌いしてしまう人もいるだろう。しかし、それで読まないのはもったいなさ過ぎる。それほど、犬木加奈子の漫画は面白い。ホラー漫画ゆえ、不幸オチが多いのだが、因果応報的な納得できる内容になってます。そして、「かなえられた願い」は特にエスプリが効いてる。ホラー漫画より、作者独自のお伽話であるから、苦手な人も読めるかと思います。ただし、ビジュアル的な怖さ(顔中吹き出物、焼けただれた体、その他気持ち悪い描写)はありますので、ご注意。しかし、それが大丈夫なら、この他の追付いを許さない、唯一無二の世界観を楽しめるでしょう。舞台は、ほとんど現代。「13日の金曜日に悪魔を捕まえれば、どんな願いも叶える」。それを知った主人公たちが願いを叶えるのだが、大体不幸オチという話です。たまに、良い子はハッピーエンドになります。3巻まで出てますが、1話完結ですし、読みやすいと思います。悪魔が小狡い人間っぽいのも良いです。主人公たちが、合わせ鏡を作り、鏡の道を行く途中に瓶に吸い込まれ捕まえる方法も呪術的で、魅力があります。
ホラー描写に抵抗ない方、是非読んでみて下さい。