元祖・暗闇童話!エスプリを効かせた優良ホラー漫画
一時期「本当は怖い童話」などが流行しました。最近は、大ヒットした「アナと雪の女王」の2が出ると話題になってます。人気のディズニー作品のほとんどはお伽話、神話を原作にしているのを見ると、いかに人がそれを求めているのが分かる。いくら科学が進歩して無宗教の人が増えても、それを超えた世界が裏側にあるのを、人はどこかで信じてます。合理的な思考で、窮屈な生活を強いられてるからこそ。こういうエスプリを絡めたお伽話の漫画がある。犬木加奈子のホラー漫画「かなえられた願い」。絵柄は丸顔の丸い目。体も、どことなくポッチャリしてる感じ。昭和の漫画家らしいバイタリティを感じさせる、上手いというより、強い画力。表紙のほとんどは、叫ぶ表情。笑顔の時も、和やかな微笑みではなく、悪意あるニタリ顔です。絵柄が強烈に個性的であり、そこで食わず嫌いしてしまう人もいるだろう。しかし、それで読まないのはもったいなさ過ぎる。それほど、犬木加奈子の漫画は面白い。ホラー漫画ゆえ、不幸オチが多いのだが、因果応報的な納得できる内容になってます。そして、「かなえられた願い」は特にエスプリが効いてる。ホラー漫画より、作者独自のお伽話であるから、苦手な人も読めるかと思います。ただし、ビジュアル的な怖さ(顔中吹き出物、焼けただれた体、その他気持ち悪い描写)はありますので、ご注意。しかし、それが大丈夫なら、この他の追付いを許さない、唯一無二の世界観を楽しめるでしょう。舞台は、ほとんど現代。「13日の金曜日に悪魔を捕まえれば、どんな願いも叶える」。それを知った主人公たちが願いを叶えるのだが、大体不幸オチという話です。たまに、良い子はハッピーエンドになります。3巻まで出てますが、1話完結ですし、読みやすいと思います。悪魔が小狡い人間っぽいのも良いです。主人公たちが、合わせ鏡を作り、鏡の道を行く途中に瓶に吸い込まれ捕まえる方法も呪術的で、魅力があります。
ホラー描写に抵抗ない方、是非読んでみて下さい。