ザ・フォーリナー/復讐者 / The Foreigner

ザ・フォーリナー/復讐者 / The Foreignerのレビュー・評価・感想

ザ・フォーリナー/復讐者 / The Foreigner
7

『復讐』

『ザ・フォーリナー/復讐者』は、イギリスと「UDI」と呼ばれる独立を求めるアイルランドの過激派による抗争に、中国レストランを経営する家族が不運にも巻き込まれてしまうというストーリー。
主人公はジャッキーチェン演じるクァン・ノク・ミン。娘が卒業式に着るドレスを買いにブティックに送っていったところ、娘が目の前で爆破テロに巻き込まれてしまう。娘を失ってからのジャッキーチェンの表情や雰囲気が、優しいイメージとは全く違い復讐に燃え、何としてでも犯人を自分で捕まえるという決意が見て取れる。クァンは自分で犯人を追い、ピアース・ブロスナン演じる北アイルランド副首相リーアム・ヘネシーが関わっているという結論に至る。そしてクァンは自分の家族の写真を燃やし復讐の鬼となっていく。ベトナム戦争時代にアメリカの特殊部隊に所属していたクァンは、持てる知識を全てを使いリーアムを追い詰めていく。子を想う親の力は凄まじいという事を思い知る作品だ。その上、監督はあの「007」シリーズで知られるマーティン・キャンベル。戦闘シーンはお手の物で、迫力があり興奮やヒヤヒヤさせられるシーンが各所に散りばめられている。中国レストランのオーナーの老人1人が政府の長官を追い詰めていく、現実では考えられないようなストーリーが何故か気分をスッとさせてくれる。アクション映画が好きな方やジャッキーチェンのファンは必見だろう。

ザ・フォーリナー/復讐者 / The Foreigner
10

怖さと哀しみを湛えたジャッキーの新境地!

最愛の娘を爆弾テロで失った初老の男性が執拗なまでの復讐心に取り憑かれ、かつて米軍特殊部隊で培った技術を駆使し憎むべき標的に肉薄していく。
還暦を過ぎ、更に円熟味を増したジャッキーが、娘を愛する父親から一転「深い悲しみと怒りに裏打ちされた戦闘マシーン」と化す。その変貌ぶりはただ単なるアクションスターでは出せない「ある種の凄み」を強烈なまでに印象づけてくれる。
こういったアクション映画には定評のある監督のマーティン・キャンベルの手腕も確かで、「感情の発露としてのアクション」と「時に冷徹な政治まで絡む複雑な人間ドラマ」を巧みに融合させ、最後まで觀るものを惹きつける展開はさすがと言わざるを得ない。
そしてなんと云ってもジャッキーだけではなく、もう一人の主役ともいっていいピアース・ブロスナンもこの映画のキーマンとして存在感を発揮し「副首相となった今も「かつてテロリストだった過去』の呪縛からは逃れられない男」としてジャッキーと対峙しながら作品を盛り上げていて、二人の対決シーンもアクションこそないもののまさに静寂の中にも火花が散るかのような雰囲気で、間違いなく本作の見どころといえる。