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怖さと哀しみを湛えたジャッキーの新境地!
最愛の娘を爆弾テロで失った初老の男性が執拗なまでの復讐心に取り憑かれ、かつて米軍特殊部隊で培った技術を駆使し憎むべき標的に肉薄していく。
還暦を過ぎ、更に円熟味を増したジャッキーが、娘を愛する父親から一転「深い悲しみと怒りに裏打ちされた戦闘マシーン」と化す。その変貌ぶりはただ単なるアクションスターでは出せない「ある種の凄み」を強烈なまでに印象づけてくれる。
こういったアクション映画には定評のある監督のマーティン・キャンベルの手腕も確かで、「感情の発露としてのアクション」と「時に冷徹な政治まで絡む複雑な人間ドラマ」を巧みに融合させ、最後まで觀るものを惹きつける展開はさすがと言わざるを得ない。
そしてなんと云ってもジャッキーだけではなく、もう一人の主役ともいっていいピアース・ブロスナンもこの映画のキーマンとして存在感を発揮し「副首相となった今も「かつてテロリストだった過去』の呪縛からは逃れられない男」としてジャッキーと対峙しながら作品を盛り上げていて、二人の対決シーンもアクションこそないもののまさに静寂の中にも火花が散るかのような雰囲気で、間違いなく本作の見どころといえる。