この道

この道

『この道』は2019年1月に公開された日本映画。佐々部清が監督、大森南朋とEXILE AKIRAがダブル主演を務めた。児童文学者である鈴木三重吉が創刊した児童雑誌『赤い鳥』の刊行100周年を記念して製作された映画で、本誌に多くの童謡を発表した詩人・北原白秋と作曲家・山田耕筰の半生を描いている。
関東大震災をきっかけに希望を失った子供たちを元気づけるため、手を取り合って多くの歌を産み出した北原と山田。しかし、愛すべき子供たちを戦争に送るための軍歌を作るよう命じられた二人は、徐々に苦悩の淵へと追いやられていく。

この道のレビュー・評価・感想

この道
8

この道はいつか来た道

北原白秋が主役という、見る人を最初からふるい落としてくる作品です。そのふるいに残った人が見たら、確実に感動すること間違いなしです。
なので、「刺さる人には刺さる」作品として10段階評価は8をつけさせていただきました。
あらすじをばっさり言ってしまえば、北原白秋ってこんな人じゃないかな、というお話です。
教科書で見たり、人づてに聞いたり、音楽の教科書にたまに名前が載っていたりする北原白秋その人には、「どうしてそんなことしちゃったの?」と頭を抱えたくなるようなエピソードがたくさんあります。私は特に色っぽい詩のイメージと、童謡の朗らかで楽しくなるイメージが上手く合わさらなくて、北原白秋ってどんな人なんだろう、と思っていたのですが、この映画は非常に分かりやすく、良い解釈を与えてくれました。
どの行動にも理由がある。それに納得できる。確かに私たちとは全然違う感性で生きているのに、どこか親しみが持てるのは、人間として彼が非常に魅力的で、純粋だったからでしょう。
しかし、その純粋さと才能は、どうしても悲劇を起こしてしまう。その切なさがグッと詰まっています。
何かが出来る人は、何かが出来ない人だということがこの映画でははっきり描かれています。純粋で才能ある人だからこそ出来ない事があります。これはその歴史の一片だと思いました。
見終わった後、私は彼に何が出来ただろう、そう考える映画でした。