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この道はいつか来た道
北原白秋が主役という、見る人を最初からふるい落としてくる作品です。そのふるいに残った人が見たら、確実に感動すること間違いなしです。
なので、「刺さる人には刺さる」作品として10段階評価は8をつけさせていただきました。
あらすじをばっさり言ってしまえば、北原白秋ってこんな人じゃないかな、というお話です。
教科書で見たり、人づてに聞いたり、音楽の教科書にたまに名前が載っていたりする北原白秋その人には、「どうしてそんなことしちゃったの?」と頭を抱えたくなるようなエピソードがたくさんあります。私は特に色っぽい詩のイメージと、童謡の朗らかで楽しくなるイメージが上手く合わさらなくて、北原白秋ってどんな人なんだろう、と思っていたのですが、この映画は非常に分かりやすく、良い解釈を与えてくれました。
どの行動にも理由がある。それに納得できる。確かに私たちとは全然違う感性で生きているのに、どこか親しみが持てるのは、人間として彼が非常に魅力的で、純粋だったからでしょう。
しかし、その純粋さと才能は、どうしても悲劇を起こしてしまう。その切なさがグッと詰まっています。
何かが出来る人は、何かが出来ない人だということがこの映画でははっきり描かれています。純粋で才能ある人だからこそ出来ない事があります。これはその歴史の一片だと思いました。
見終わった後、私は彼に何が出来ただろう、そう考える映画でした。