恋愛のリアルを描ききった傑作
ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズが主演を務めた映画。
淡い恋愛を経験し、ついに夫婦となった彼らに待っていたのは残酷すぎる結婚生活だった。ライアン・ゴズリングは、若い頃からは想像もつかないほどの中年太りの恰幅のいいおじさんになり、頭もうっすらハゲてきた。妻のミシェルウィリアムズは子育てのイライラと、夫の変わり果てた姿に辟易とし、お互いにろくに会話もしないようになってしまう。物語はそんなちぐはぐな夫婦生活とかつて恋人同士だった二人のシーンが交互に映され、そのコントラストは残酷という言葉がぴったり。
二人の淡い恋人生活はセピアな色に溢れている。これはフィルムカメラをあえて使用しているから出た色なんだそう。
しかし、もっと特筆すべきは恋人のシーンでのライアン・ゴズリングの演技だ。突然、橋の欄干から飛び降りようとするなど突拍子も無いことをするのだ。それも当然で、これは全てライアン・ゴズリングのアドリブ。ミシェルウィリアムズも彼が何をするかわからないため、本気で驚いている。真の恋人のようにアドリブで作られた二人の過去のシーンは、あまりにもリアルでそれがまた、現在の夫婦生活を際立たせている。「ブルーバレンタイン」は結婚と恋愛の違いをまざまざと見せつけられる大人のラブストーリーだ。