小説にひけを取らないクオリティ
この映画は村上春樹の大ヒット小説「ノルウェイの森」の映画化です。
大体小説を実写化すると、ストーリーやキャスティングに批判が集中することが多いのですが(漫画と違い、どうしても読者の想像力に委ねているからです)ですが、今作はそうではありません。主演の松山ケンイチは主人公のワタナベトオルの色がない感じを上手く表現できてますし、相手役の菊池凛子の影のある暗い美人によくマッチしています。ただ、それだけだと陰気な映画になってしまうので、雰囲気を明るくさせているのは小林緑役の水原希子です。天真爛漫なキャラクターにワタナベも惹かれていきます。ただ個人的には髪をもっと短くしてもよかったかもと思いました。
ストーリーとしては、東京の大学生の気だるい、物憂げな雰囲気もよく出ていました。地下鉄に乗り、散歩して、喫茶店でコーヒーを飲む。ですが直子は精神を病んでしまい、京都の山奥の療養所に入ってしまう。そこでもワタナベは新しい出会いをする。レイコさんという少し歳を召しているが素敵な女性です。レイコさんもとても辛い過去を抱えていて、話の後半にもとても重要なポジションとしてワタナベの前に現れます。音楽も、ビートルズの同名曲、「ノルウェイジャンウッド」によく合っています。