ウインド・リバー

ウインド・リバー

『ウインド・リバー』(原題:Wind River)とは、2017年に製作されたアメリカ合衆国のクライムサスペンス映画である。アメリカでは2017年8月に、日本では2018年7月27日に劇場公開された。『ボーダーライン』や『最後の追跡』の脚本を手掛けたテイラー・シェリダンが自らのオリジナル脚本で監督を務め、第70回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で監督賞を受賞した。主演はジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンが務めた。
物語の舞台は、ネイティブアメリカンが追いやられたアメリカ中西部ワイオミング州の雪深い保留地ウインド・リバーである。厳寒の雪山でネイティブアメリカンの少女の凍死体が発見され、現地に派遣されたFBIの新人女性捜査官ジェーン・バナーは、過酷な自然環境や土地の慣習に苦戦する。捜査を前進させるため、彼女は遺体の第一発見者であり、辛い過去を抱える地元のベテランハンターであるコリー・ランバートに協力を求める。過酷な風雪の中で事件の調査を進める二人は、社会から取り残された絶望的な土地に潜む陰惨な事件の全貌と恐ろしい真実に迫っていく。
本作は現代のアメリカ社会が抱える辺境地域の現実や差別問題を描き出し、高い評価を受けた。

kinkuma841w3のレビュー・評価・感想

ウインド・リバー
9

ネイティブアメリカンの現状

少女失踪を基にした映画はアメリカで多く作られていますが、本作は単なるサスペンス物では無く、実に優れた社会派スリラーとなっています。
アメリカの良心を象徴した、カウボーイ姿でハンターの主人公はネイティブアメリカンの人々と支え合い雪深い山岳地で暮らしています。しかし彼は娘を亡くしています。犯人はわかりません。
彼は友人のネイティブアメリカンの娘の死体を発見した事で経験の浅い女性FBI捜査官と事件に協力する事になります。
映画を見ていく中、観客はある事に気付きます。ネイティブアメリカンの父親が捜査官に心を開かない事、事件性が無いと警官は動かず数も少ない事、採掘所で働く酒に女に溺れる粗暴な男達、カウボーイを嫌う、ヤク中の悪い若者達…皆希望無く彷徨い生きるこの雪の地帯はどこか普通とは違うのです。
実は現実の世界でも多くのネイティブアメリカンの女性が失踪し、死体さえ見つかっていません。物語の舞台は現在もアメリカ各地に残る、ネイティブアメリカン強制居住地そのものなのです。
この強制移住により、国は見返りにカジノ施設等を作り雇用を用意しましたが、残ったのは依存症患者や犯罪の増加でした。故郷を奪われた彼らは生きがいを無くし、ヤクや酒、女等にはまりました。一番弱い女性がおそらく犠牲になっているのでしょうが、映画は真実まで教えてはくれません。
カジノ問題や人種差別等は日本人にも身近な問題です。説教じみた映画では無く、娯楽作品として十分楽しめます。大人も若い人も見るべき作品だと思います。