男子高校生が座って話す、ただそれだけの漫画なんです。
2013年から2017年まで連載されたこの漫画、セトウツミ。内容はなんと、男子高校生の瀬戸(セト)と内海(ウツミ)が川辺に座ってだらだら喋る、それだけなんです。それだけのはずなのに、なぜか惹かれてしまうんです。
天然でボケ寄りな瀬戸と、そんな瀬戸に全力で、しかし冷静にツッコミを入れる内海。学校の終わった夕方、川辺で繰り広げられる関西弁のトークはとてもテンポが良く、思わずクスっと笑ってしまうものばかりです。
そして周りのキャラクターも癖が強い。内海が好きなのに瀬戸から好かれまくる樫村一期、同級生にいじめられてるのかと思うほど前髪の短いハツ美、名前だけにとどまらず容姿までもが左右対称な田中真二、ベラルーシ出身で、内海にだけあたりの強いバルーンさん。
もちろん事件も起こります。内海の家庭は複雑で、内海はそんな家庭を壊そうと考えるのです。しかし、それに気づいた瀬戸含む周りのメンバーが内海の犯行を阻止し、内海は初めて自分の父親に真正面から刃向かいます。最終話は、これだけずっと川辺に座って喋っていた二人が揃わずスマホのSNSで会話する文面で終わりを迎えます。それはお互いが新しい一歩を踏み出した結果であり、胸がいっぱいになる最終話でした。
友達との何気ない会話に笑い、純粋に楽しんでいた高校のあの頃を思い出せる、そんな作品です。