体を取り戻す旅に出た錬金術師の兄弟
兄のエドワード・エルリック(以下エド)と弟のアルフォンス・エルリック(以下アル)が禁忌に手を出して、なくなった体を取り戻すために色々な人と出会い、奮闘する話です。私の思う見所は物語最大のテーマ「命」を考えさせられる部分だと思います。エドとアルは、幼い時に亡くなった母に会いたい一心で、錬金術の文献を使った人体錬成をしました。結果は失敗しましたが、それだけでなくエドの片腕たと片足、アルの全身を錬金術に持っていかれます。錬金術の基本は等価交換だったからです。そこから、体を取り戻すのに必要な「賢者の石」を探していると、「賢者の石」は人の命が濃縮されたものだと知ってしまいます。しかも、「賢者の石」の基は罪なき人々で、それを利用して不老不死を得ようとしている一味が国のトップと知ってしまいます。エルリック兄弟は、その思惑を壊すために奮闘する中で命と向き合い、体を戻すために「賢者の石」を使うか葛藤する。そんな部分を一緒に考えながら読んでいくと楽しめる作品です。個人的には、エドの身長に対する思い入れと人間関係の不器用さも見てて面白いと思います。エドは気が短く、身長について言及されると「誰がミジンコマメツブ野郎だ!」と殴ってしまう人です。エドの義足手(オートメイル)の技師ウィンリィに「俺の人生半分やるから、お前の人生半分寄越せ!」と言う場面も好きです。