赤字してまで追求する音楽表現
サカナクションというバンドはご存じですか?
私は日本の他のバンドには無いものを持っている唯一無二のバンドだと思っています。
メンバー全員北海道出身で、上京してきています。
北海道で活動していた頃から、ほとんどの曲をボーカルの山口一郎が作詞作曲を手掛けています。
そんなサカナクションの魅力的な点は、ライブに行くと浮き彫りになります。聴覚、視覚、そして体全体で感じることが出来る音楽表現の仕方を知っているように思えます。YouTubeでも視聴が可能ですが、ライブはやはり生で観るのが1番であります。
まず、視覚です。「SAKANATRIBE2014-LIVE」での演出を例にあげますと、サカナクションは他のアーティストが使用する証明などを組み合わせこれまでに無い空間を創り出します。また、見たことの無い証明も積極的に取り入れ、音楽の世界観に合わせた空間を創り上げています。そして1番驚く視覚表現としては、リアルタイムの映像を起用するという事です。舞台裏でライブ中に作業をしています。生中継のように捉えていただけたら良いと思います。そのライブでしかないものなので、とても感慨深いものに感じられるでしょう。
次に、聴覚です。サカナクションは楽器はもちろん、Apple社のMacまでを音楽表現に使います。ライブ中に楽器を持たず、パソコンを1人1台使い音楽を創り上げていきます。既存の音楽ですがremixが成されているので、まったく別の音楽のように感じる時もあるかもしれません。ですがそこが良いのです。ライブでしか聴けないバージョンの曲も多数存在するからです。(アルバムに収録される曲もあります。)
そしてなんといっても、「音楽を体感する」を追求したライブが有名です。それが「6.1ch Sound Around」です。会場全体をスピーカーで取り囲み、さらに会場の中心辺りにもスピーカーを置くことによって、臨場感のあるサウンドを創り上げたライブです。通常のライブは、会場の前方にスピーカーがあるため、1番後ろの席の方に聴こえるまで時差が生じたりします。ですがこの6.1chシステムは、時差を感じることがありません。まるでイヤホンを付けながらライブを観ているような感覚に陥ります。ですが生音だということに気づき、そこで更に心に来るものがあると思います。
ですがこのようにスピーカーを使ってしまうと、莫大な運営費用がかかってしまいます。ボーカルの山口一郎が「会場が満員になっても赤字」と公言している通り、この6.1chは赤字になったライブと言えるのです。赤字になってもこのライブをしたのは、音楽を体感する側のことを考慮してとの事です。会場全体で、どの席でも良い席と思って貰えるように、このスピーカー配置を取り入れたのだそうです。
自分たちが赤字になってでも、聴いている皆と一体になりたい、同じ音楽を感じたいと思えるサカナクションは世界で見ても他に無いバンドだと言えます。
聴く側のことを考えた演出もされますが、サカナクションの伝えたいものは全て伝える、必要ならば(証明など)全て使う、他のバンドはしないようなことをライブでし始める精神がとても好印象です。
この感動はライブに行って頂かないと中々感じられないかもしれませんが、楽曲をイヤホンで聴いて頂くだけでも良いのです。
あいにく、6.1chは2度目があるか分かりませんが。