構想力、展開力が素晴らしく、感動的
人外の化け物と人類の戦いという構図から始まるお話ですが、それ自体はよくある設定です。そんな中で全世界1億冊売れているのは、とにかく構想が素晴らしいことに起因していると思います。
安易なパニック物、アクション物ではなく、一人ひとりの登場人物の背景が動作や言葉にしっかりと描写されており、作り込まれています。そのため考察要素もふんだんに盛り込まれていて、進撃の巨人という作品に読者を没頭させてくれます。
一巻読むごとにストーリー展開、謎の解明がされていくのですが、謎が解明されたあとに過去の巻を読むと、登場人物の何気ない一コマがじつはヒントになっていることに気付かされるなど、無駄なコマが一つもないように感じられます。
残酷さが際立つ作品ではありますが、少年漫画らしい熱さや人々の葛藤、最後には正義VS正義というテーマになり、今まさに起きている戦争のことを深く考えさせられます。
基本的にはシリアスな場面が多くはなりますが、急に入ってくるシュールなギャグも癖になりますね。
最後、納得しない方もおられるかもしれませんが、感動的で切ないエンドでした。何か他に方法はなかったのか、と私も登場人物同様に考えてしまいました。