10
窪塚洋介、クドカンファン必見!教養を必要とした最高の滑稽噺。
窪塚洋介、宮藤官九郎ファンの私は完全にこのタッグに惹かれて観始めたのですが、観賞後、即座に映画好きの友達に長文でオススメのメールを打ちました。
小説が原作になっており、基本的な構成はラブストーリーということになっていますが、軽快に描かれる重すぎる問題などから”クドカン節”を感じることができました。
在日韓国人である主人公・杉原は「民族学校開校以来のバカ」と言われながらも、自分にしか理解できない悩みを悲観的に捉えることなく、独自の姿勢から解決するセンスの持ち主でした。
落語で笑い、シェークスピアが刺さる。
若さ故の素直さと、その陰にずっしりと腰を据えた家庭問題や差別的扱い。それら全てが作り上げる人格がこんなに美しいものかと、言葉に詰まりました。
フィクションである以上全てを真に受けて語ることはナンセンスですが、この辺りから学ぶことも多く、解決できない悩みに身じろぎするので精一杯といった方には是非一度、あくまで娯楽の一つとしてこの映画をお勧めしたいです。
気付かされることが嫌いになってしまった我々大人が、たどり着くことのできない境地にある何かに手が届くのではないかと思わせてくれるような、そんな時間をすごさせてくれる不思議な映画です。